冷戦期にはリトアニアの教会に隠していた書物も

アメリカのニューヨークにあるYIVOユダヤ調査研究所は、リトアニアの学術機関と協力して、ナチスドイツのホロコーストで破壊、崩壊されなかった貴重なユダヤの文献のデジタル化を行って、全世界にネットで公開している。「エドワード・ブランクYIVOヴィルナ・オンライン・プロジェクト」と呼ばれており、現在410万ページの様々な貴重な戦前のユダヤの文献がデジタル化されて公開されている。

ナチスドイツは政策として欧州のユダヤ人を殲滅する予定で、ユダヤ人を差別、迫害しており、その一環としてユダヤ人の書物や祈祷書などを全て焼き払おうとしていた。実際に多くのユダヤの文献が焼却された。そのようなホロコーストの時代にリトアニアのビルニュスでこっそりと隠して保管されていて80年以上経ったボロボロになった書物などをデジタル化している。

1946年にアメリカ軍によって発見されてYIVOに送られた書物がデジタル化されている。また第二次世界大戦が終わった1948年に一部の書物は発見されたが、当時リトアニアはソビエト連邦だったため、このような書物を公開することはできず、冷戦が終結する1989年までリトアニアの教会にずっと隠されていた。そのような書物もデジタル化されている。他にもリトアニアの国立図書館に保管されていた未公開の貴重な17万の史料、資料も含まれている。イディッシュ語での貴重な資料、戦前の東欧でのユダヤの生活や宗教がわかる貴重な本も多い。

進むホロコーストのデジタル化

戦後70年以上が経過しホロコースト生存者らの高齢化も進み、多くの人が他界してしまった。当時の記憶や経験を後世に伝えようとしてホロコースト生存者らの証言を動画や3Dなどで記録して保存している、いわゆる記憶のデジタル化は積極的に進められている。またホロコーストの犠牲者の遺品やメモ、生存者らが所有していたホロコースト時代の物の多くは、家族らがホロコースト博物館などに寄付している。特に新型コロナウィルス感染拡大によるロックダウンで多くの博物館が閉鎖されてしまってからは展示物のデジタル化が加速されており、バーチャルツアーで世界中の人が閲覧できるようになっている。

欧米では主要都市のほとんどにホロコースト博物館があり、ホロコーストに関する様々な物品が展示されている。そして、それらの多くはデジタル化されて世界中からオンラインで閲覧が可能であり、研究者やホロコースト教育に活用されている。いわゆる記憶のデジタル化の一環であり、後世にホロコーストの歴史を伝えることに貢献している。

紙の本として保管しておいても現地まで行かないとアクセスすることは困難で、ボロボロになってしまっているので、このようなデジタル化されることによって世界中から研究者らが当時の貴重な文献にアクセスできるようになることのメリットは大きい。

▼デジタル化された書物

(YIVO提供)
(YIVO提供)

(YIVO提供)
(YIVO提供)