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ロシア軍 偵察・監視用の「石型スパイロボット」開発

佐藤仁学術研究員・著述家
ロシア軍が開発した石型スパイロボット(Zvezda提供)

ロシア空軍の士官学校の兵士が石のような形の偵察、監視用ロボットを開発した。動画も公開されている。小型の石のような形状で、自然の中に溶けこみ、必要に応じて動くことが可能。カメラを搭載しており、リアルタイムに情報を送っている。バッテリーで15時間動作が可能。モーションセンサーも搭載しており、敵や周りの物などが動いたら、検知して自在に動くこともできる。現時点では銃などは搭載していないので攻撃はできない。プーチン大統領もロシアの軍事企業に防衛対策用のロボット製造を要求していた。

▼ロシア空軍が開発した石型スパイロボット

ロボットに適している偵察

AI技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。ロボットは人間よりも3D業務(Dangerous:危険な、Dirty:汚い、Dull:退屈な)に優れている。疲れることもないし24時間稼働できるし、壊れたら代わりの軍事ロボットを持って来ればよい。特に国境警備や偵察・監視は3D業務の典型であり、人間の軍人よりもロボットの方が適している。人間の軍人と違ってロボットは1日に24時間、1週間に7日間休むことなく働ける。さらに人間の軍人のように給料を払わなくても良いし、さぼらないし、文句も言わない。

また無人の軍事ロボットやドローンを積極的に軍事分野で導入することによって、人間の軍人が戦場で死ぬリスクが低減される。そうなると、軍人の人間の安全保障は確保されるようになる。

一方で、戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。ロシアやアメリカ、イスラエルなどは反対していないので、このように積極的に軍事分野での自律化を推進しようとしている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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