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ロシア 小型船に搭載できるイッカクのような「迎撃ドローン銃」2022年から量産

佐藤仁学術研究員・著述家
(エレクトロマシーナ提供)

ロシアの軍事企業のエレクトロマシーナは「ナルヴァル」と呼ばれる迎撃ドローン銃の量産を2022年から開始するとロシアのメディアのタスなどが報じていた。同社では既に試験も実施しているとのこと。

「ナルヴァル」は迎撃ドローンのモジュールとしてロシア海軍に提供されるが、東南アジアや中東、インドなどロシアの艦隊を活用していて需要のある国への輸出も予定しているとのこと。小型の船やボートなどに搭載してドローン迎撃以外にも人間や標的への攻撃もできる。リモートからの操作もできるし、AI(人工知能)を搭載しているので自律での発射も可能。「ナルヴァル」とはロシア語でイッカクの意味らしい。確かに砲撃用の銃がイッカクの長い一本角のようである。名前はイッカクから取ってるようだが、小型船への搭載だけでなく陸上戦での利用も可能。

同社のCEOのイーゴリ・アファナシエフ氏は「この砲撃モジュールは他社のよりもコストも安く、砲撃力もあり、運用も容易で優れています。ロシア国防省の試験でもそれが証明されました」と語っていた。

ドローンの大群が上空から地上に突っ込んできて攻撃をしてくることは大きな脅威であり、標的である敵陣に与える心理的影響と破壊力も甚大である。またドローンはコストも高くないので、大国でなくとも、テロリストでも購入が可能であり、攻撃側は人間の軍人やテロリストが傷つくリスクは低減されるので、攻撃側にとって優位であり有益だ。

そのためドローン迎撃銃の開発と対策はロシアだけでなく、あらゆる国の防衛において重要である。特にロシアは周辺諸国が攻撃用の軍事ドローンを着実に準備しており、いつでもロシアに対して上空からのドローンによる攻撃が可能な状況である。そのためロシアにとってドローン迎撃対策は急務であり国家の安全保障上、重要である。

▼「ナルヴァル」の紹介動画

(エレクトロマシーナ提供)
(エレクトロマシーナ提供)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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