1944年9月19日にホロコーストで殺害されたユダヤ人のポケットから出てきた4枚の写真
第2次世界大戦時にナチスドイツによって約600万人のユダヤ人が殺害された、いわゆるホロコースト。イスラエルにはホロコースト犠牲者を追悼したヤド・ヴァシェムという博物館がある。
2021年9月19日にヤド・ヴァシェムのツイッターで、4枚の写真を紹介していた。1944年9月19日にソビエト軍が解放する数日前のエストニアの強制収容所でドイツ人やエストニア人、リトアニアのビルニュスのゲットーから連れてこられた約2000人のユダヤ人が殺害された。そしてソビエトの解放軍が殺害された犠牲者のポケットの中から発見した4枚の写真を紹介していた。幸せで平和な時代のユダヤ人らのごくありふれた日常の生活を撮影した写真だ。
ヤド・ヴァシェムでは約480万人のホロコースト犠牲者のデータベースがあり、それらは世界中からネット経由で閲覧することもできる。約600万人のユダヤ人が殺害されたが、残りの120万人は名前が判明していない。第2次世界大戦が終結して70年以上が経過し、ホロコースト生存者の高齢化が進んできた。生存者が心身ともに健康なうちにホロコースト時代の経験や記憶を証言として動画で録画してネットで世界中から視聴してもらう「記憶のデジタル化」が進められている。
またヤド・ヴァシェムでは、このような当時の写真のデジタル化とオンラインでの展示も進めている。現在のようにスマホで誰もが簡単に撮影できる時代ではなかった。カメラも貴重なものだった。1枚1枚の写真が全てのユダヤ人の思い出が詰まっている。
さらにヤド・ヴァシェムではホロコースト犠牲者の身元確認とデータベース構築も進められているが、ナチスドイツによって完全に消失したユダヤ人集落などもあり、全ての犠牲者の名前や写真を収集してデータベースに格納することは難航している。また写真だけは辛うじて残っているが、それが誰の写真なのか全くわからないものも多い。