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米国海軍幹部 情報戦を語る「戦場での紛争と同じように、情報戦も普段からの訓練がとても重要」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「今でも、まさに情報収集と技術開発の戦いが行われています」

2021年8月に開催された Navy League of the United States' Sea-Air-Space Global Maritime Expoに米国海軍中将のジェフリー・トラスラー氏、少将のジーン・プライス氏が登壇した。

2人は米国海軍で情報戦の指揮も担当している。トラスラー氏は「現在、存在している技術を活用することによって、今まで以上に速く情報収集を行うことができるようになります。そして収集された情報やデータは機械学習を通じて人工知能(AI)技術の強化につながり、ロボティクスにも活用されていきます。そして、そのような技術力は、アメリカが紛争において戦い抜き、敵国を圧倒するのに重要です。このスピーチを行っている今でも、まさに情報収集と技術開発の戦いが行われています」と語っていた。米国の敵である中国の技術開発と情報収集を念頭においてのコメントである。

「いつ、どこで、どのような兵器が必要なのかを判断して、適確な兵器で敵と戦うことが重要」

プライス氏は「情報戦争とは、海洋学、気象学、インテリジェンス(諜報活動)、電子戦、暗号理論、サイバー攻撃によるサイバー戦争の攻防、情報技術(IT)など全てを駆使して戦うものです。どれか1つだけで勝てるものではなく、どれか1つが欠けてしまっても負けてしまうものです。私たち海軍にとって重要なのは、いつ、どこで、どのような兵器が必要なのかを判断して、適確な兵器で敵と戦うことです。特にAI技術と機械学習は重要です。様々な情報やデータを基に強化されたAIは、これからの多くの判断において重要となります」と語っていた。

またプライス氏は「さらに、これからはLive・virtual・constructive(ライブ、仮想、建設的シミュレーション)のトレーニングも重要になってきます。情報戦は、突然戦えるようになるものではありません。戦場での紛争と同じように、情報戦も普段からの訓練がとても重要です」と述べていた。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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