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イラン 7000キロ飛行可能なドローン所有を明言:革命防衛隊司令官が地元テレビで

佐藤仁学術研究員・著述家
イランのドローン「Gaza」(C) Aurora-Intel

イランの革命防衛隊のフセイン・サラミ司令官は現地の国営テレビに出演して、イランは7000キロ飛行できるドローンを保有していることを伝えていた。サラミ司令官は「イランは7000キロ飛行できるドローンを所有している。パイロットなしでどこにでも行けるし、同じ場所に帰還できる」と語っていた。イランでは2020年初頭には2000キロ飛行可能なドローン「Gaza」を披露していた。「Gaza」はイランが保有しているドローンの中で最長飛行できるドローンといわれていたので、それを遥かに超えるドローンを所有していることが明らかになった。

イランの兵器のほとんどは1979年まで続いた王政時代にアメリカから購入したもので、現在はアメリカとの関係悪化による制裁のためアメリカから購入できないので、ドローン開発に注力している。今年に入ってからもイラン空軍ではドローンのデモを実施しており、イスラエルのガザ地区の攻撃の際にはパレスチナにドローンを提供してイスラエルを攻撃していたと報じられていた。

現在ではイランだけでなくトルコ、イスラエル、インド、ロシアなども攻撃ドローンの開発に注力している。以前は軍事面でのドローン活用は偵察・監視がほとんどだったが、現在では攻撃ドローンがメインになっている。攻撃用の軍事ドローンは「Kamikaze Drone(神風ドローン)」、「Suicide Drone(自爆型ドローン)」、「Kamikaze Strike(神風ストライク)」とも呼ばれており、標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。日本人にとってはこのような攻撃型ドローンが「神風」を名乗るのに嫌悪感を覚える人もいるだろうが「神風ドローン」は欧米や中東では一般名詞としてメディアでも軍事企業でも一般的によく使われている。「神風ドローン」の大群が上空から地上に突っ込んできて攻撃をしてくることは大きな脅威であり、標的である敵陣に与える心理的影響と破壊力も甚大である。ドローンはコストも高くないので、大国でなくとも購入が可能であり、攻撃側は人間の軍人が傷つくリスクは低減されるので有益である。

▼イラン空軍のドローンの試験飛行

提供:Iranian Army/WANA (West Asia News Agency)/ロイター/アフロ

提供:Iranian Army/WANA (West Asia News Agency)/ロイター/アフロ

提供:Iranian Army/WANA (West Asia News Agency)/ロイター/アフロ

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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