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アメリカ空軍、AI搭載の自律型ドローン「スカイボーグ」130分間の試験飛行に成功

佐藤仁学術研究員・著述家
スカイボーグの試験飛行(アメリカ空軍提供)

アメリカ空軍はAI搭載した自律型ドローン「スカイボーグ」の飛行試験を2021年4月にフロリダのアメリカ空軍基地で実施。130分(2時間10分)の飛行に成功したことを発表した。スカイボーグのAutonomy core system(ACS)という自律コアシステムをUTAP-22 Makoというドローンに搭載して飛行試験を実施した。

アメリカ空軍のデール・ホワイト准将は「スカイボーグの"ブレイン"の初期バージョンを搭載しての今回の飛行試験の成功をとても喜んでいます。今回の飛行試験は自律型無人ドローンのスカイボーグが発展していくための第一歩です。今後ますます精度を高めていくでしょう」とコメントしている。

進む自律型殺傷兵器の開発

AI技術の発展で、AI技術の軍事分野での積極的な活用が進められている。AI技術を搭載することによって、兵器の無人化も進んでいる。今回のスカイボーグも自律型兵器である。一方で、兵器の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。

人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界30か国の政府、AI技術者らが自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。

アメリカ政府は自律型殺傷兵器の開発と使用には反対していない。むしろこのように積極的にAI技術を軍事に活用しており、このままいけば近い将来「キラーロボット」と呼ばれる自律型殺傷兵器が登場して、戦場でも利用されるだろう。アメリカだけでなくロシア、イスラエル、中国、インドなどでもAI技術の軍事への活用は積極的に進められている。中国政府は自律型殺傷兵器の使用には反対しているが、開発には反対していない。

スカイボーグの試験飛行(アメリカ空軍提供)
スカイボーグの試験飛行(アメリカ空軍提供)

▼スカイボーグに向けたヴァンガードプログラム紹介動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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