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ロシア、神風ドローンを上空で大破「パトロール迎撃ドローン」トルコのドローンを標的にした動画も公開

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

迎撃ドローンが上空で神風ドローンを大破

ロシア軍は「神風ドローン」と称される標的に向かって突っ込んできて爆破する攻撃ドローンを迎撃するための「パトロール迎撃ドローン」を開発している。パトロールドローンは、攻撃ドローンを察知すると上空で攻撃ドローンを迎撃して爆破させる。つまり神風ドローンが地上の標的を爆破する前に、上空で爆破してしまうことができる。メディアで動画も公開している。攻撃を行う神風ドローンだけでなく、偵察・監視用ドローンの迎撃もできる。

迎撃ドローンはロシアの軍事企業Zalaアエログループが開発。紹介動画の中ではトルコの攻撃ドローン「バイラクタル TB2」と思われるドローンが攻撃してくることを想定して、迎撃シナリオを紹介している。

攻撃ドローンは「Kamikaze Drone(神風ドローン)」、「Suicide Drone(自爆型ドローン)」、「kamikaze Strike(神風ストライク)」とも呼ばれており、標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。日本人にとってはこのような攻撃型ドローンが「神風」を名乗るのに嫌悪感を覚える人もいるだろうが「神風ドローン」は欧米や中東では一般名詞としてメディアでも軍事企業でも一般的によく使われている。

大国ロシアも脅威の神風ドローン、これからも続く空中戦

2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコやイスラエルの「神風ドローン」が紛争に活用されていた。「神風ドローン」の大群が上空から地上に突っ込んできて攻撃をしてくることは大きな脅威であり、標的である敵陣に与える心理的影響と破壊力も甚大である。また、ドローンはコストも高くないので、大国でなくとも大量に購入が可能であり、攻撃側は人間の軍人が傷つくリスクは低減されるので有益である。

そのためロシアのような大国であっても、周辺の中小国からの神風ドローンの攻撃に晒されるリスクは高くなる。安価な神風ドローンによって非対称な戦いが可能となり、ロシアのような大国にとっても、神風ドローンの大群による上空からの攻撃は大きな脅威だ。なんとしても神風ドローンが地上の標的を爆破して大打撃を与えられる前に、神風ドローンを上空で破壊しておきたいところだ。これからも神風ドローンによる上空からの無慈悲な攻撃と、対策に向けた迎撃の空中戦は続く。

▼パトロール迎撃ドローンが神風ドローンを上空で大破するイメージ動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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