ホロコースト生存者の女性は17%がガン 男性は39%が心臓病での死亡が高い:イスラエルの大学が調査

(写真:ロイター/アフロ)

第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。戦争が終わって75年以上が経過し、ホロコースト生存者の高齢化が進んできている。現在、ホロコーストの経験や記憶を動画や3Dで保存して後世に伝えていこうという動きが欧米やイスラエルで積極的に行われている。ホロコースト生存者が心身ともに健康で当時の記憶がある元気なうちに「記憶のデジタル化」を進めようとしている。特にホロコースト生存者といっても、ホロコースト当時の記憶が鮮明に残っており、体験を共有できる当時10代以上の子供だった方は、現在ではすでに85歳以上の高齢である。

欧米や中東では今でも根強い反ユダヤ主義が多く、「ホロコーストはなかった」といったホロコースト否定論も多く、正しい歴史の真実を伝えていくためにも、ホロコースト生存者が健康なうちに、彼らの経験や記憶を語ってもらいデジタル化して保存・発信していく必要がある。

ホロコーストの記憶のデジタル化に向けて、ホロコースト生存者の健康管理は重要な課題である。そしてホロコースト生存者の女性はホロコーストを経験していない人よりも17%以上高い確率でガンにかかって亡くなり、ホロコースト生存者の男性はホロコーストを経験していない人よりも39%高い確率で心臓病にかかって亡くなりやすいことがイスラエルのヘブライ大学の調査で明らかになった。ヘブライ大学では22,000人の死因原因の調査を行い、そのうち5,042人が1946年から2016年までにイスラエルに移住してきたホロコースト生存者。

ヘブライ大学のイアロスラヴ・ヨウシム氏とハギト・ホフナー氏がアメリカの疫学のジャーナルで発表している。ヨウシム氏は「ナチスによる差別・迫害を経験した人は、たとえイスラエルに移住して家族を築いて安定した暮らしをしていたとしても、人生において高い致死率と直面していることが明らかになりました。ホロコースト生存者のようなトラウマを抱えた人は特定の病気にかかりやすいのでしょう」と語っている。ホフナー氏は「これらの結果からトラウマを抱えた人には長期間にわたってのモニタリングとケアが必要です。このようなトラウマの経験から致死率のパターンを解明していく必要があります」と語っている。

イスラエルでは2020年に約3,000人のホロコースト生存者が追加されて、現在179,600人のホロコースト生存者がいる。64%が欧州から来て、16%がモロッコ、11%がイラク、4%がチュニジア、2%がアルジェリアとリビアから来ている。そして2020年には17,000人のホロコースト生存者が死亡してしまい、そのうち900人は新型コロナウィルスに感染しての死亡だった。90歳以上が17%で、850人が100歳以上である。