イスラエル 著名人がホロコースト生存者をインスタのストーリーで紹介:若い世代にも知ってもらうために
毎年4月にはヨム・ハショアと呼ばれる、ホロコーストで犠牲になった人々を追悼する休日がある。今年は4月7日夕方から8日夕方まで。
イスラエルのエルサレムにあるヤド・バシェムは第2次大戦時にナチスドイツによって殺害されたユダヤ人らを追悼するための国立記念館。毎年ヨム・ハショアの日には、多くのユダヤ人がヤド・バシェムに集まり、ナチスドイツによって殺害された約600万人のユダヤ人犠牲者に祈りを捧げる重要な行事である。イスラエルではヨム・ハショアの日にはサイレンが2分間にわたって鳴り響き、車に乗っている人も全員が道路に降りてきて、全土でホロコースト犠牲者を追憶して黙とうをする。いつもは喧噪のイスラエル中の町が沈黙する。ホロコースト生存者の高齢者も家族と一緒に多く集まる。
今年のヨム・ハショアの日にはインスタグラムのストーリーにイスラエルの有名なタレントや女優、インフルエンサーら20人がイスラエルに住むホロコースト生存者の高齢者とともに動画を撮影して配信する。イスラエルのモデルのネタ・アルハミステル氏は83歳のウクライナ出身のホロコースト生存者のラリッサ・リトヴァク氏を紹介。俳優のオーマー・ドロール氏はハンガリー出身のホロコースト生存者を紹介している。
「Sharing Memories(記憶の共有)」というプロジェクトで、インスタグラムを運営しているFacebookとイスラエルのNGOのLatetが立ち上げた。ホロコースト生存者の高齢化が進み、現在のイスラエルには176,000人の生存者がいる。昨年は17,000人のホロコースト生存者が死去してしまい、そのうち900人が新型コロナウィルスに感染して死亡している。イスラエルでの新型コロナウィルスでの死亡者はホロコースト生存者の88歳の方だった。
イスラエルでも生存者が年々減少しており、現在のイスラエルでも若い世代にとってはホロコーストを学校の歴史の授業でしか習ったことがなく、周囲に生存者がいなくなってきていることから、ホロコーストに対する現実感がない。そのため若者にもホロコーストの歴史や生存者のことを知ってもらうことを目的として若者に人気のインスタグラムのストーリーを活用。フォロワー数の多い有名人やタレント、インフルエンサーが自身のインスタグラムのストーリーでホロコースト生存者を紹介することによって、多くの若い世代にもホロコーストを知ってもらおうとしている。
Facebookイスラエルのマーヤン・サリン氏は「ホロコースト生存者は年々減少しており、近い将来に生存者はゼロになり、彼らの声を聞くことができなくなってしまいます。SNSを活用して彼らの経験や物語を多くの人に届けたいです」と語っている。
▼イスラエルのモデルのネタ・アルハミステル氏のプロモーション動画
▼イスラエルの俳優のオーマー・ドロール氏のプロモーション動画