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ロシア軍事企業 ドローン迎撃銃を公開「神風ドローン」の脅威に対抗

佐藤仁学術研究員・著述家
公開されたドローン迎撃銃(Rosoboronexport提供)

 UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビで開催されていた国際防衛展示会(International Defence Exhibition and Conference :IDEX 2021)でロシアの軍事企業のRosoboronexportが上空のドローンを撃墜するためのドローン迎撃銃を公開した。このドローン迎撃銃は3.5キログラムで人間の軍人が簡単に操作できて、3キロメートル~6キロメートル圏内のドローンを撃墜できる。

 軍事で活用されるドローンは従来、偵察用がほとんどだった。だが最近では攻撃を行うドローンも多く、実際に紛争でも活用されている。特に標的を認識すると攻撃を行ってくる「神風ドローン(Kamikaze Drone)」が大きな脅威だ。2020年のアゼルバイジャンとアルメニアの紛争ではアゼルバイジャンがイスラエル製の「神風ドローン」で攻撃を行っていた。小型の攻撃型ドローンで大量に上空から攻撃してくる「神風ドローン」は地上にいる人間にとっては非常に恐ろしい存在であり、攻撃をしかけてくる前に地上から撃破しておきたい。ロシアとしては周辺諸国で「神風ドローン」が実戦に使われ、敵陣に大きなダメージを与えたことはロシアの安全保障の観点から見ても大きな課題であり、ドローンの迎撃は重要である。

 現在は人間の軍人が地上で迎撃ドローン銃を持って、上空のドローンを撃墜するが、そのような軍人は「神風ドローン」の標的になりやすい。迎撃ドローン銃を搭載し、上空のドローンを検知すると自律的に迎撃を行う兵器を使用すれば人間の軍人が標的として神風ドローンに突っ込まれて犠牲になることも少なくなる。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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