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アメリカ海軍、標的を自律的に検知・追跡・攻撃するシステムを開発:キルチェーン短縮へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

自律的に検知・追跡・攻撃でキルチェーン短縮へ

 アメリカ海軍水上戦センターは標的を自律的に検知、追跡して攻撃するためのシステムを開発していることを発表した。「Intelligent Tracker」と呼ばれるプロダクトで今後、有人および無人の兵器に搭載していく。標的の特定人物を検知すると、オプティカル・ターゲット・トラックで追跡し、自律的に攻撃を行うことができる。

 10年以上にわたって開発を続けてきて、既に試験も実施しておりアメリカ海軍水上戦センターのエンジニアのベン・ゴールドマン氏は「我々の目的は標的を早く検知して攻撃をすることによって軍事作戦のオペレーションを効率化していくことです。つまりキルチェーン(Kill Chain)の短縮を目指しています」と語っている。キルチェーンとは、標的の識別、標的への武力特派、標的を攻撃する判断、標的の破壊の4つであり、たしかに人間の目で標的を探し出して確認して、さらに追跡して、攻撃の判断をしてから攻撃するよりも効率的だろう。

▼アメリカ海軍水上戦センターが公開した「Intelligent Tracker」で標的を検知して追跡

(アメリカ海軍水上戦センター提供)
(アメリカ海軍水上戦センター提供)

 アメリカ海兵隊は「神風ドローン」を搭載した無人船(Long Range Unmanned Surface Vessel:LRUSV)の導入を発表していた。AI技術の軍事分野での活用で、自律型の兵器の開発は進んできている。人間の判断を介さないでAI技術を搭載した兵器自身が判断して標的に攻撃を行うことが非倫理的であると国際NGOや世界の30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用に反対を訴えている。アメリカは反対していないで、むしろ積極的に自律型の兵器の開発を進めている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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