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イスラエルのピザハット、ドローンでのピザ配達試験を開始

佐藤仁学術研究員・著述家
イスラエルピザハットによるドローンでの配達試験飛行(イスラエル ピザハット提供)

 イスラエルのピザハットはドローンでの配達の飛行テストを2021年1月に実施した。注文した顧客の家にダイレクトにドローンがピザを配達するのではなく、駐車場のような広い場所にあるドローンポートに着陸し、そこにピザを取りに行くか、そこにドライバーがいて各家庭に配達するスタイル。

 イスラエルのピザハットはイスラエルのスタートアップのドラゴンテイル社と提携してピザのドローン配達の試験を実施し、6月には実際の運用開始を目指している。現時点で、イスラエルの運輸当局はイスラエル北部にあるピザハットの1店舗のみに許可している。また飛行して配送できるのは店舗から80キロ以内の場所までとしている。全てのピザハットでドローン配達できるのがいつになるのかは不明だが、そのテンポで約7000の家庭に配達ができるとイスラエルピザハット社長のウディ・シャマイ氏は語っている。

 またイスラエルの運輸当局によるとピザハットでのドローンでの配送は2.5キログラムまでなので、大量に配送することができない。イスラエルでは1つの家庭に多くの親戚や友人知人らが集まることが多く、そのような時に大量に配達してくれるピザのデリバリーなどが重宝されているが、重量が今後のネックになりそうだ。ドラゴンテイル社のマネージング・ディレクターのイド・レバノン氏は「6月の商用化開始までにはもっと重量を増やしてもらうためのライセンスを取得する予定です。またドローンが着陸してからピザ泥棒に盗まれないような具体的な対策を考えることも今後の課題です」と語っている。

 2016年にニュージーランドのドミノピザがドローンでのピザ配達の試験を行っていたが、まだ実際にお客様へのドローンでのピザ配達の運用は開始していない。ドローンでのピザ配達は地元の運輸当局からの許認可や実際の配達時の事故やトラブルの対応、泥棒対策、利用者の利便性、コストの問題、悪天候時の対応など検討することが多く、なかなか実用化が進んでない。現時点ではまだ配達員がバイクや車、自転車で各家庭まで運んでくれる方が効率的である。イスラエルのピザハットも6月にドローンでのピザ配達のサービスを開始できるだろうか。

イスラエルピザハットによるドローンでの配達試験飛行(イスラエル ピザハット提供)
イスラエルピザハットによるドローンでの配達試験飛行(イスラエル ピザハット提供)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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