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インドの病院、コロナ患者へ薬と食事を運ぶロボットを導入:医療スタッフの感染リスクと稼働を軽減へ

佐藤仁学術研究員・著述家
アッサム州の病院で導入されたロボット(ANI提供)

パンデミック拡大のインドの病院で進むロボット

 インドでも新型コロナウィルス感染拡大が止まらない。インドの感染者は1000万人を超えて増え続けているが、実際には検査を受けられない人も多いことから、もっと多いだろうと言われている。

 そのインドのアッサム州の病院で新型コロナウィルスで入院している患者への薬や食事などを運ぶロボット2台の運用が2021年1月から開始された。ロボットは地元の企業が開発した。開発したハルジート・ナス氏はこのデリバリーロボットを新型コロナウィルス感染という戦争と闘う「Warbot(戦争のためのロボット)」と名付けている。

 薬や食事といった基本的に必要な物をロボットが特定の患者のベッドまで運ぶため、医療従事者が患者と接触するリスクが低減される。またインドの地方では医療機関も医療スタッフも不足しているため、ロボットの導入によって医療スタッフの業務の稼働が大幅に軽減されることも期待されている。ロボットの作業は患者の元に必要な薬と食事を運ぶルーティンな業務であり、治療などは行わない。

 インドでは新型コロナウィルス患者のためのデリバリーロボットがいくつかの病院で導入されており、今回のアッサム州の病院が初めてではない。他にはタブレットが搭載されていて遠隔地にいる医師や医療スタッフとコミュニケーションができるロボットや、病院の入口で検温や遠隔地の医師とコンタクトできるロボットなどが開発され病院に導入されている。このようなロボットはインドだけでなく欧米などでも導入が進んでいる。

▼インドの病院で導入されたデリバリーロボットを報じる地元メディア

▼インドの病院の入り口で検査や医師とのやり取りをするロボット

▼新型コロナウィルスのためのデリバリーロボットを開発するインドの少年を報じる地元メディア

▼インドの病院に導入されたデリバリーロボットを報じる地元メディア

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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