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インド、92%がメンタルヘルスの相談は人間よりもロボットにしたい

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウィルスによる世界規模でのロックダウンによって失業する人が世界中で増加した。2020年は世界的にストレスやメンタルヘルスで悩まされた人が多い。インドでも84%の人が仕事に対して不安やストレスを昨年以上に感じているとOracle's 2020 AI@Work調査の結果で明らかになった。従業員のメンタルヘルスへの対応は世界規模での課題にもなっている。そしてインドでは92%の従業員がメンタルヘルスや仕事のストレスについては、人間の人事担当者や上司、産業医よりもロボットに相談したいと回答。インド人の回答者数は1000人以上。この調査は米国、英国、中国、日本、インド、ブラジル、ドイツ、フランス、イタリア、韓国、UAEで実施し世界中の平均では68%だったが、インドでは圧倒的に高く92%とほぼ全員が人間よりもロボットにメンタルヘルスの相談をしたいと回答。

 また82%のインド人がロボットの方が人間よりもメンタルヘルスの支援をしっかりとしてくれると回答。さらに90%以上のインド人が、自社でメンタルヘルスのためにAIを効果的に活用していると回答している。Oracleのアジアパシフィックのシャアクン・カンナ氏は「インドでは多くの人々がテクノロジーになれており、ロボットに話しかけることにも抵抗がなく、むしろ心地良いのだろう」と分析している。

 インドではIT企業や金融業などではカーストの名残はないと言われているが、実際には名前で出自がわかることが多いので、人間同士ではなかなか本音でメンタルヘルスの相談をしにくいこともあるだろう。ロボットの方が人間のような偏見やバイアスがないし、同じ職場の上司では人間関係のしがらみから言いたいことが言えないこともあるだろう。公平に中立的に話しを聞いてくれて、AIを搭載し的確な返答をしてくれるロボットの方がコミュニケーションがしやすいのかもしれない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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