ポーランド軍、自律型偵察戦闘車のフィールド試験実施
ポーランドの軍事企業Polska Grupa Zbrojeniowa(PGZ)やポーランドの軍事技術大学が協働で開発しているAI(人工知能)を搭載した自律型偵察戦闘車「Perun」を、ポーランド北東部のギジツコで現在フィールドテストを行っていることを明らかにした。Perunは歩兵を支援するために設計されており、偵察、ロジスティック、戦闘に活用される。センサーを搭載し周囲の様子や敵を察知してAIが判断して行動する。10時間作動することが可能。またAIのみが行動を判断する「完全自律モード」だけではなく、人間が判断して行動する「非自律モード」や、決まったルートだけは自律型走行できる「限定自律モード」もある。
PGZのヘンリク・ラベツ氏には「自律型の兵器は未来の戦場で、間違いなく中心になります。傷ついた戦車は交換できるし、新たに製造することもできます。でも人間の命は代替がないのでもっと貴重です。自律型兵器のトレンドはこれからも続くでしょう」と語っていた。軍事分野でのAI活用は各国でも進んでいる。実際にAIを搭載したロボットの方が人間よりも3D業務(Dirty:汚い、Dangerous:危険、Dull:退屈)には適していると言われている。また同氏が述べているように、無機質な戦車は壊れたり傷ついたら再製造すればよいし、戦場に軍人(人間)が行かなくてもすむようになると軍人の人間の安全保障は守られるようになる。また現在のように軍人の数も多くなくてすむようになれば、コスト削減にもつながる。
軍事分野でのAI活用の流れは止まらないだろう。新たな技術が兵器や戦争で活用されるのは「軍事における革命(Revolution in Military Affairs:RMA)」と称されて、古代から人間は新たな技術を軍事分野に取り入れてきた。一方でAIが標的や敵を察知して判断して殺害し、人の殺傷に人間の判断を介してないという理由で非倫理的、非道徳的であると自律型殺傷兵器の開発に反対しているNGOも多い。
戦場では無人の自律型兵器同士での戦いとなる可能性もあり、未来の戦争のスタイルは変わるだろう。だが兵器の犠牲になるのは常に市民であり、市民生活と社会インフラの破壊こそが敵国へのダメージである。そのため、自律型兵器が登場して戦争のスタイルは変化しても、攻撃の標的に晒されるのは市民と社会インフラであることは変わらないだろう。