アウシュビッツの生存者へ解放時にメッセージを書いてくれた米軍兵士は誰?ツイッターで呼びかけて発見
第2次大戦時ナチスドイツが約600万人のユダヤ人やロマ、政治犯らを殺害したホロコースト。そのホロコーストの象徴的な存在が、約110万人がガス室や病気、飢えなどで殺害されたポーランドにあるアウシュビッツ絶滅収容所だ。14歳でアウシュビッツに移送されて生き延びることができたLily Ebert氏は現在90歳。Lily Ebert氏が解放された直後に米軍の兵士から当時の紙幣に書いてもらったメッセージが話題になっている。
Lily Ebert氏は2人の姉妹とともにアウシュビッツ絶滅収容所から歩かされて移動し、途中で倒れたら殺される「死の行進」と呼ばれる行進から解放された時に米軍兵士がドイツの紙幣に「新たな生活が始まる。グッドラック!そしてお幸せに("A start to a new life… good luck and happiness")」と書いて渡してくれた。Ebert氏はその紙幣を現在でも大切に保管していた。その紙幣を見た曾孫の16歳のDov Forman氏が「これを世界中にシェアして、その米軍兵士を探そう!24時間で見つけることができるかもしれないよ」と曾祖母のLily Ebert氏に告げてツイッターで世界中に呼びかけた。Lily Ebert氏は曾孫の話を聞いた時にはただ笑っていた。
Dov Forman氏のツイートが全世界に100万人以上のフォロワーを持つアウシュビッツ博物館のツイッターにLily Ebert氏の経歴とともにリツイートされると瞬く間に世界中に拡散され、多くの情報が寄せられた。そしてメッセージを書いた米軍兵士がPrivate Hayman Shulman氏だったということが判明。だが、彼は7年前に既に他界していたことも明らかになった。だがLily Ebert氏とDov Forman氏の2人は、米軍兵士Private Hayman Shulman氏の子供たちとビデオ通話で話すことができた。Lily Ebert氏は「この米軍兵士こそが、私が初めて接したとても良い人で、感動しました。今でもとても印象に残っています」と語っていた。
Lily Ebert氏は「全てを失ってしまいましたが、彼の書いてくれたメッセージはとても心に響きました。当時は小さな紙すらもなく、何もなかったんです。現代を生きる皆さんには信じられないかもしれませんが。全てのものを失っても人は人間性を理解することができました。ホロコーストで私は全ての家族を失いました。母や叔父、叔母など100人以上の家族を」と語っていた。
Dov Forman氏は、現在アウシュビッツでタバコ入れを作ってLily Ebert氏にプレゼントした人を探しており、そのタバコ入れと彼のメッセージを添えてツイッターで呼びかけている。
▼Dov Forman氏の呼びかけに応じるアウシュビッツ博物館のツイッター
▼Dov Forman氏は、現在アウシュビッツでタバコ入れを作ってLily Ebert氏にプレゼントした人を探すためにツイッターで呼びかけている。