ギリシャ、イスラエルとサイバーセキュリティ分野で協力に合意:情報共有と人材育成から

(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 2020年6月にギリシャはイスラエルとサイバーセキュリティ分野で協力、提携していくことを合意した。イスラエルのネタニヤフ首相がギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相を訪問の際に、イスラエルの国家サイバー機関(Israel National Cyber Directorate INCD)のイーガル・ウンナ氏とギリシャのデジタルガバナンス省のキリアコス・ピエッラカキス氏がサイン。

 イスラエルとギリシャでは国家レベルでのサイバーセキュリティ強化に向けたプラットフォームの構築や人材育成で協力していく。また両国ではサイバーセキュリティのノウハウの共有、政府の法律面、規制面でのフレームワークの共有を行っていく。イスラエル国家サイバー機関のエンディティム氏は「サイバーセキュリティの基本は情報共有にある。脅威と解決策は1か国だけでなく、国家間をまたぐものだ。そのため、サイバーセキュリティは国家間での協力が重要になる」と語っている。ギリシャのキリアコス・ピエッラカキス氏は「イスラエルの最先端のサイバーセキュリティの技術や業界でのリーダーとしてのポジションのあらゆる点を、ギリシャにも導入していきたい」とコメント。サイバーセキュリティの連携や協力において一番重要なのは、情報共有と人材育成だ。新たな脅威や攻撃に関する情報をいち早く共有することと、対処する人材の確保が重要になる。

 ギリシャとイスラエルでのサイバーセキュリティでの協力ということだが、圧倒的にイスラエルの方がサイバーセキュリティでは優位だ。イスラエルは常に周辺のアラブ諸国や反ユダヤ団体などからサイバー攻撃の標的とされているためサイバー防衛にも長けており、また安全保障の観点からイスラエルもサイバー攻撃を仕掛けており、世界でもサイバーセキュリティ分野では有数の国である。国家間でのサイバーセキュリティでの協力は重要で、イスラエルのようにサイバーセキュリティで優位な国家は、ギリシャが他国からサイバー攻撃を受けて、ギリシャを踏み台にしてイスラエルに侵入してサイバー攻撃をしかけることを防ぐことにもなる。

 またサイバーセキュリティ分野での協力や連携は他の安全保障分野での協力と同じように、信頼関係のある友好国同士でないと締結できない。ギリシャ正教の国であるギリシャには16世紀以来多くのユダヤ人が住んできた。ギリシャ正教の復活祭の時には、映画館で"ユダヤ人はキリスト教徒の子供を殺し、その血を使って種なしパンを作る"という反ユダヤを煽るような映画が上映され、ギリシャのユダヤ人たちは不快な緊張感を強いられていたそうだ。だが、ギリシャ人がユダヤ人に対して暴力を振るうことはなかったが、第2次世界大戦時のナチスドイツによるユダヤ人迫害と殺害で、ギリシャにいた75,000人のユダヤ人のうち大戦を生きのびたユダヤ人は1万人しかいなかった。イスラエルにとってもギリシャは様々な想いがある国の1つである。

▼イスラエルとのサイバーセキュリティでの協力を伝えるギリシャのデジタルガバナンス省のキリアコス・ピエッラカキス氏のツイッター