国連事務総長、安全保障理事会で自律型殺傷兵器の開発反対を強調

(写真:ロイター/アフロ)

 国連のグレーテス事務総長は2020年5月27日に、安全保障理事会でのWEB会議での公開討論に参加。安全保障理事会に対して以下の4点の対応を求めていた。

(1)都市での紛争への対応と市民保護のコミットメントの在り方を見直すこと。

(2)リビアやイエメンで実戦で活用されている戦闘ドローンが増加していることに対して、国際法の観点から戦闘ドローン使用を制限できないか検討すべき。

(3)自律型殺傷兵器の開発に対して法的、道徳的、倫理的な観点での検討をすること。人間が関与しないで兵器が判断して標的を攻撃して人間の生命を奪うことは国際法で禁止すべき。

(4)世界規模で新型コロナウィルスの感染拡大が広がっており、市民生活の基盤となるインフラや医療機関を狙ったサイバー攻撃が増加していることへの対応。

 国連事務総長が安全保障理事会に対応を求めた(1)から(4)までのうち(3)以外は全てが現時点で被害が拡大している事案である。特に新型コロナウィルス感染が世界規模で拡大していることから(4)の医療機関を狙ったサイバー攻撃が増加していることへの言及ばかりが世界中で報じられていた。日本でもNHKが報じていた。(3)の自律型殺傷兵器は開発は進められているものの、実戦での活用はまだ行われていない。

 人工知能(AI)は軍事でも多く活用されてきており、AIを搭載したキラーロボットと称される自律型殺傷兵器が登場し人間の判断を介さないで、兵器自身が判断して標的や人間を攻撃してくることが懸念されている。人間の判断を介さないで攻撃して人の生命を奪うことに対して倫理的、道徳的な観点から自律型殺傷兵器の開発には国連事務総長だけでなくNGOなども声高に反対している。

 自律型殺傷兵器は実戦で活用されていないことから、どの程度の被害があるのか想像もできない。だが実際にそのような兵器が登場して人間の判断を介さないで標的や人間を攻撃してくることに対して倫理的な観点から国連事務総長やNGOは開発に反対をしている。核兵器、生物兵器、化学兵器といった大量破壊兵器やそれ以外の通常兵器も基本的には人間の判断で使用される。それらは兵器自身が標的を判断して自律的に攻撃をしてくることはない。使用(攻撃)の判断は人間に委ねられている。人間には理性があるという性善説に立てば、倫理的、道徳的な観点から兵器の使用と攻撃は制御できるという前提で、攻撃の判断には人間の関与が必要だという主張だ。

 安全保障理事会を構成する大国では軍事へのAIの活用は積極的であり、自律型殺傷兵器の開発に反対を表明していない。そのため今回の安全保障理事会への要求に対しても国連事務総長は、自律型殺傷兵器開発への反対については「国際法で禁止すべきであることが私の強い信念だ(my deep conviction)」と自分の信条を強調していた。