米国ユダヤ系NPO、Uber Eatsと提携:ホロコースト生存者の老人に食事宅配・まずは過越祭から

(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウィルス感染拡大防止のためにニューヨークでは外出制限が出されている。そのような中で、アメリカ最大級のユダヤ系NPO団体「Met Council」がUber Eatsと協力して、ニューヨークに住んでいるホロコースト生存者の老人で外出できない人たちのために食事のデリバリーサービスを提供した。ニューヨークは戦前からアメリカでも最もユダヤ人が多い街だ。

 ナチスドイツが第2次大戦時に約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。戦後、アメリカに移住してきたホロコーストの生存者たちも現在では高齢化が進み、ほとんどが80歳以上だ。そのため、一人で買い物に行くことも大変な状況だ。現在は新型コロナウィルス感染拡大防止のために外出制限があるため、生存者の家族が簡単に訪問して世話をすることも容易ではない。そのためユダヤ系NPOではUber Eatsと提携して、そのような老齢のホロコースト生存者たちに食事のデリバリーサービスを提供開始した。

 4月にはユダヤ人にとっては「Passover」と呼ばれる「過越祭」があり、伝統的に家族や友人らが集まって食事をする。だが、今年は新型コロナウィルス感染拡大防止のために家族らが集まることができないため、過越祭のためにユダヤ人が食べている種無しパン(マッツォ)、ゆで卵(ベーツァー)、羊肉(ゼローア)など特別な食事を無料で提供している。NPO団体Met Councilでは以前から米国在住のホロコースト生存者の支援を行ってきた。

 現在、外出制限や在宅勤務をしているアメリカではUber Eatsのようなデリバリーサービスは生活インフラの一部になっており、多くの人が利用している。スマホで簡単に注文できてカードで決済するため、使いこなせる若い人にとっては便利なサービスだ。だが、老齢者にとってはUber Eatsの利用どころか、スマホの操作すらできない人も多い。そのためNPOではUber Eatsと連携して支援を始めた。老人たちはスマホが利用できなくとも、NPOのボランティアが支援してUber Eatsで食事配達の注文ができることのメリットは大きい。

 戦後75年が経過し、ホロコースト時代のことを知っている人たちは高齢化が進んできた。現在、欧米やイスラエルではホロコースト生存者たちの記憶が鮮明で体力があるうちに、当時の記憶を語り継いでもらい、2度とホロコーストの悲劇を繰り返さないために、ホロコーストの記憶のデジタル化を急いで進めている。イスラエルで新型コロナウィルスでの最初の死亡者が88歳のホロコースト生存者だったが、ホロコースト生存者は歴史の証人として貴重な存在でもある。

 Met CouncilのCEOのディビッド・グリーンフィールド氏は「新型コロナウィルスの影響でニューヨークでは3割の食料品店が閉店しています。さらに多くの老人らは家にいて外出して食べに行くことが出来ません。また家族が新型コロナウィルスに感染していて、生存者の親を支援に行けない人もいます。そこでまず、過越祭の食事のデリバリーサービスを開始しました。最初300食を用意しましたが、需要が多いことを知って500食提供しました。Uberのようなメジャーなデリバリープラットフォームと提携できて嬉しいです。我々はUber Eatsを利用して老人の家に食事を届けることをアメリカで初めて開始したNPO団体だと思います。配達した人たちからも"ホロコースト生存者の老人たちが、食事のデリバリーを大変喜んでくれている"という報告を受けています。まずはホロコースト生存者のためのパイロットプログラムとして始めみましたが、新型コロナウィルス感染拡大防止による外出制限のため、多くの老齢者が食事のデリバリーを必要としていることがわかりました」と語っていた。