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ホロコースト記念日を前にインスタで反ユダヤ主義・ヘイト撲滅を訴え「Stop This Story」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 1月27日は今から75年前の1945年にアウシュヴィッツ=ビルケナウ絶滅収容所がソ連軍によって解放された日であり、2005年に1月27日は「国際ホロコースト記念日」に制定された。第2次大戦時にナチス・ドイツによって約600万人のユダヤ人、ロマ、政治犯らが殺害された。アウシュビッツでは110万人以上がガス室で殺されたり、餓死や病死した。75年前のホロコーストの生存者も年々減少していき、そのうちゼロになってしまう。生存者の体験や当時の様子をインタビューしてデジタルで保存しようという動きが世界中で進んでいる。

 またホロコーストで600万人以上のユダヤ人が犠牲になったが、現在でも反ユダヤ主義の風潮は欧米では根強い。2019年12月末にはニューヨークでユダヤ教ラビ(宗教的指導者)の自宅が襲撃されたり、反ユダヤ主義のヘイト(民族憎悪)が繰り返されていた。またロンドンでも同時期にシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)やユダヤ人商店に反ユダヤ的な落書きが書かれる事件が起きていた。ホロコースト前夜の欧州と同じ状況でないかと危惧されている。

 そのような状況の中、ホロコースト記念日を前にして、反ユダヤ主義やヘイトを撲滅しようと、世界ホロコーストフォーラムと欧州ユダヤ評議会が主導してインスタグラムで「Stop This Story」を立ち上げて、イスラエルのルーベン・リブリン大統領をはじめ世界中のリーダーや女優、スポーツ選手など発言に影響力のある有名人がインスタグラムに登場しAR動画を通じて反ユダヤ主義やヘイト撲滅を訴えている。「#stopthisstory」を付与して拡散も呼びかけている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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