ポーランド首相、ネットフリックスのドキュメンタリーに「歴史的事実と異なる」と抗議

(写真:Shutterstock/アフロ)

 ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は、米国のネット動画配信ネットフリックス(Netflix)が制作したドキュメンタリー動画『The Devil Next Door』について、同社のCEOリード・ヘイスティングス氏に対して抗議の声明文を発表した。『The Devil Next Door』はナチス・ドイツ時代のポーランドでのユダヤ人迫害、いわゆるホロコースト時の収容所の看守を扱ったドキュメンタリー。

 だが、動画の中でポーランドに建設された収容所が、当時の国境線と異なる地図に表記されており、あたかもポーランドに収容所があったように見えること、さらにポーランド国内に建設された収容所がポーランドによって建設されたという内容で上映されていたが、実際にはナチス・ドイツが建設したことであり、歴史的事実と異なることに対して怒りを露わにした。

 ポーランドのモラヴィエツキ首相はネットフリックスが配信しているドキュメンタリーについて「明らかに歴史的事実と大いに異なる」と嘆いて、「ナチス・ドイツに占領されていた時代に、ポーランドは独立国家として存在していなかった。ポーランドが強制収容所を設置してユダヤ人を殺害していたような表現は明らかに歴史の改ざんである」と語っていた。ネットフリックスはアメリカを中心に全世界で1億5800万人以上が加入しており、世界中に配信されるコンテンツの影響力は大きい。

 ナチス・ドイツによって当時ポーランド人の18%が殺害され、ポーランドに住んでいたユダヤ人は90%以上が殺害された。首相は「ポーランドはナチス・ドイツの犠牲者であり、ネットフリックス社にとっては、ちっぽけなことかもしれないが、ポーランド人にとっては物凄く重要なことだ。地図の間違いだけでなく、あたかもポーランド人が収容所を作ってホロコーストを引き起こしたかのように視聴者に誤解を与えるような表現は許しがたい」と強調。

 また欧州のユダヤ人やロマ、政治犯などが収容されて110万人以上が殺害されたアウシュビッツ絶滅収容所跡地にあるアウシュビッツ博物館はツイッターで「明らかに間違っている」と投稿。ポーランドの外務省もツイッターで地図の違いを指摘し「当時ポーランドはナチス・ドイツに占拠されており、強制収容所建設はナチスが行ったことである」と訴えた。

 ネットフリックスはポーランド首相からの抗議を真摯に受け止めて、ドキュメンタリー内での間違いについて直ちに修正して、次回の放送の時に、テロップにテキストで表示することを明らかにした。

▼『The Devil Next Door』トレーラー(ネットフリックス)

▼アウシュビッツ博物館による投稿。ネットフリックスからの回答も掲載

▼ポーランド外務省による投稿。歴史的に正しい国境線の地図を記載