Yahoo!ニュース

Apple、中国で一番スマホが売れる旧正月セールでもiPhone売れずに2期連続の減収減益

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 Appleは2019年4月30日に2019年Q2(2019年1~3月期)の業績発表を行った。売上高は前年同期比5%減の580億1500万ドル(約6兆円)、純利益は16%減の115億6100万ドル(約1.5兆円)だった。

 前期の2018年10月~12月期は全世界でクリスマスシーズンだったが、世界規模でiPhoneの売れ行きが伸び悩み、減収減益だった。そして今期は中国での売上が22%減少となり、2期連続の減収減益となった。Appleは前期よりiPhone、iPad、Macなどの販売台数は公表しなくなり、売上のみの発表となったが、iPhoneの売上の減少が目立っている。一方でサービス分野の売上は大きく伸びており、過去最高の売上を達成している。

プロダクト別売上(Apple公開資料を元に作成)
プロダクト別売上(Apple公開資料を元に作成)

旧正月シーズンの中国での売上減の痛手

 今期のAppleの売上の地域別で見ると、中国での売上が約22%減少した。中国で一番スマホが売れるのは1月から2月の旧正月セールの時期だ。クリスマスシーズンよりもスマホや消費財などが売れる季節だ。だが、Appleは前期のクリスマスシーズンでも中国でのiPhoneの売上が減少していた。続いて旧正月セールでもiPhoneが売れなかった。

 かつては中国人の富裕層は見栄をはるためにも、iPhoneの新製品が販売されると買い替えていた。だが、最近は中国人も実利主義的であり、iPhoneだけでなく新製品が出たからといってすぐに買い替えをしない。中国ではiPhoneやAppleのブランド力も以前ほどない。中国人の日常生活の中において、決済からメッセージ、SNSまでもはやスマホは生活に欠かせない必需品であるため、見栄を張ってまで高級なブランドのiPhoneを持たなくとも、中国製の実利的なスマホで十分なのだ。

 クックCEOは「中国でのiPhoneの売り上げは復調している」と楽観視していることを強調していた。だが、クリスマスシーズンと旧正月という中国で1番と2番目にスマホが売れるセールの時期で、ともに売上が減少していることから、本当に復調しているのかどうかは様子見が必要だ。

地域別の売上(Appleの公開資料を元に作成)
地域別の売上(Appleの公開資料を元に作成)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事