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キッシンジャー氏「AI兵器の開発は核兵器をコントロールするよりも遥かに困難」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 アメリカの元国務長官でアメリカ外交の重鎮のヘンリー・キッシンジャー氏がMIT(マサチューセッツ工科大学)で2019年2月に公演を行った。キッシンジャー氏はAI(人工知能)の軍事力への活用とAI兵器の開発と登場は、核兵器をコントロールするよりも遥かに困難だろうと語った。つまりAIの発展とAI兵器の登場は避けて通れないことであると警鐘を鳴らした。

 キッシンジャー氏は「特にAI技術の開発は、核兵器と異なり目に見えないところで行われており、コントロールすることが困難だ。AIの軍事活用を他国と共有することも難しい」と懸念を表明。キッシンジャー氏は最近ではAI否定論者として、科学技術の発展とAIの軍事利用による人間へ危害を与えることに対して警鐘を鳴らしている。

 キッシンジャー氏は「あらゆるデータを収集して、人間よりも遥かに速く適確に多くのことを学習できるAIとその発展は、人間の生活や存在を脅かすことになりかねない。倫理面や知性の面などあらゆる点で、人間社会はAIの台頭に対して準備が出来ていない」と語っている。

 AIの発展と軍事活用を懸念しているのはキッシンジャー氏だけでなく、多くの著名人も反対を表明しているが、避けて通ることは難しい。特に人間の判断を介さない自律型兵器へ発展することが懸念されている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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