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Google、インドで人気の鉄道アプリ「Where is my train」買収

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 Googleは2018年12月、インドで人気の鉄道アプリ「Where is my train」を運営しているSigmoid Labを買収。インドは世界最大の鉄道網。鉄道アプリ「Where is my train」は1000万人以上が利用しているインドでも人気のアプリで、電車の出発、到着時刻の確認、乗り継ぎ案内、座席チケットの購入などができる。さらにネットに接続しないでも利用できることが、プリペイドSIMが多く通信料金に敏感なインド人にも人気。

Google、インド全土で400駅で無料Wi-Fi提供

 人口約13億人のインドではここ何年かで1億人以上が初めてインターネットにアクセスできるようになった。それでもまだ、インドでネットに接続できるのは約3億人だけだ。まだ10億人以上がネットにアクセスできない環境にいる。Googleは2015年からインドの鉄道駅でWi-Fiを敷設し、無料で提供している。「Google Station」と呼ばれるインドの鉄道駅での無料Wi-Fiは2016年末までに100駅で提供され、全土で400駅で無料Wi-Fiが利用できる。

 Googleの収入の90%以上は広告である。広告収入をさらに増加させるためにも多くの人にGoogleのサービスを利用してもらう必要がある。そして多くの人がサービスを利用することによって、利用者の情報も吸い上げて、利用者に応じた広告配信が行うことができるようになる。

 鉄道は、誰がいつ、どの電車を利用しているかといった「人々の日常生活の情報の宝庫」で、それらの情報は個人への適切な広告配信ができる。そのためにはネットワークのインフラ整備が重要ということから、Googleはインドの鉄道駅で無料Wi-Fiを提供してきた。そして、今回の鉄道アプリ「Where is my train」を傘下に収めることによって、鉄道に関する情報提供、広告配信を行えるプラットフォームも手に入れた。

▼Googleがインドの鉄道駅で提供する無料Wi-Fi「Google Station」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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