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スペインの新体操、レオタードと音楽が「ホロコーストを想起させる」とSNS炎上

佐藤仁学術研究員・著述家
(Royal Gymnastics Federation/Facebook)

 スペインで開催された新体操のナショナルトーナメントで、とあるチームがナチスドイツ時代のユダヤ人大量虐殺のホロコーストを想起させるということで、SNSが炎上している。第2次大戦時にナチスドイツによって欧州のユダヤ人や政治犯、ロマなど約600万人以上が殺害された。

音楽は映画「ライフ・イズ・ビューティフル」

 スペインのパンプローナで開催された新体操のトーナメントで10代の女子チームが、ナチス時代の強制収容所を想起させる青と白の縦縞の囚人服を想起させるレオタードに黄色のワッペン(ナチス時代にユダヤ人が着用させられていたダビデの星を想起)をつけて登場。さらに、新体操を披露する時の音楽がホロコーストを扱った映画「Life is beautiful(ライフ・イズ・ビューティフル)」のテーマ曲「Beautiful that Way」だった。ホロコーストを想起させることからSNSでは「不謹慎だ」と炎上している。

かつてロシアのフィギュアスケートでも

 2016年11月にはロシアの国営テレビ・チャンネル1の番組「Ice Age」で放送されたフィギュアスケートで、トリノオリンピックで金メダルを取ったプロスケーターのTatiana Navka(タチアナ・ナフカ)だが、ナチス時代のホロコーストの囚人服の衣装を着て、同じく映画「Life is beautiful(ライフ・イズ・ビューティフル)」のテーマ曲「Beautiful that Way」の音楽に合わせてスケートを披露して、欧米を中心にネットやSNSが炎上したことがある。

▼2016年11月にロシアで開催され、SNSが大炎上したホロコースト衣装でのフィギュアスケート

 スペインでのナショナルトーナメントで100チーム以上が参加。欧米では現在でもホロコーストを想起させるものはタブーだが、このようなホロコーストのネタを引き金にしたSNS炎上は頻繁に起きている。あっという間に拡散される。ホロコーストを想起させるレオタードと音楽で出場したら、どのような反応になるのか想定できたのではないだろうか。

▼「ライフ・イズ・ビューティフル」の1シーン(MovieClipより)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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