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オランダ警察:自動運転機能を遠隔操作して自動車を移動、犯人逮捕の方法を研究中

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:Shutterstock/アフロ)

 オランダ警察は事件や事故が発生後に、犯人が乗っている自動車に搭載されている自動運転機能を遠隔で操作して、犯人を捕獲する方法を研究している。例えば、自動車が盗難被害に遭った時、所有者の許可を得て、警察が遠隔操作を行い、警察署の近くに自動車を自動運転で移動させる、そして犯人を逮捕するまで自動車のドアを遠隔でロックしておき、車外へ逃亡できないようにするシナリオなどを想定している。

メーカー数社と共同実験中

 オランダ警察はオランダに多い車種メーカーであるアウディ、メルセデス、トヨタ、テスラなどと協力して遠隔から停止したり、指定場所に自動車を自動で移動させる試験を実施している。但し、具体的にこの方法をオランダ警察が導入する時期などは明らかにされていない。また、現在は自動運転の自動車を遠隔操作で安全に移動できる段階には至ってない。

 オランダ警察のチーフ・イノベーション・オフィサーのHans Schonfeld氏は「我々は自動運転の自動車を特定の場所まで誘導することができる。自動車メーカーにとっても利益があることなので、彼らも協力的だ。まだ試験の段階で導入までに数年はかかるだろう。また、犯人が逃亡したり、自動運転車が暴走するなどのクリアしなければならない課題もたくさんある。そして、近い将来、自動車自身が周辺にある物や環境を認知できるようになる。いずれ自動車が自律して走行する時代になるので、警察も自動車に人が乗っているのかどうか確認できるシステムも必要になってくる。同時に、警察官が乗らないで犯人を追ったり、パトロールするパトカーの導入の検討もしなければならない」と幅広にコメントしている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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