イスラエル政府、サイバーセキュリティのグローバルリーダーを目指して資金提供へ

(写真:ロイター/アフロ)

「グローバルリーダーにならないといけない」

 イスラエル政府は2018年8月15日に、イスラエルのサイバーセキュリティ産業の育成を目指して、9000万シェケル(約26億円)を投資することを明らかにした。イスラエルは世界有数のサイバーセキュリティの先進国で、サイバーセキュリティ産業は同国にとっても重要な輸出産業の1つだ。そしてイスラエルのサイバーセキュリティ産業は世界的にはアメリカに次いで2位の規模だが、シェアは5%程度で、1位のアメリカの16%とは大きな差がついている。

 イスラエル政府は高度でイノベーティブなサイバーセキュリティの研究開発を行う企業に対して、研究開発費の66%まで、最大年間500万シェケル(約1億5000万円)を3年間提供する。イスラエル経済産業省のEli Cohen氏は「イスラエルにとってサイバーセキュリティは国家を支える重要な産業で、これからもイスラエルの安全保障にとっても重要でイノベーションが必要。グローバルリーダーにならないといけない」とコメント。イスラエル政府のイノベーション局のAharon氏は「イスラエルのサイバーセキュリティ企業がもっとグローバル市場に進出し、成長することを期待している」とコメント。

イスラエルのサイバーセキュリティを支える8200部隊

 世界規模で個人の生活、経済、社会、安全保障までがサイバースペースに依拠している。これは日本でもイスラエルでも変わりはない。特に周辺国との緊張関係を抱えているイスラエルにとってのサイバースペースは国家の存続にとって死活問題でもある。イスラエルにとって「サイバースペースの防衛」は「国土の防衛」と同義だ。イスラエルにとって国家は2000年来の悲願であり「絶対死守すべき空間」、それはサイバースペースも同じだ。

 イスラエルのサイバーセキュリティ産業を支えている多くが8200部隊の出身者だ。8200部隊とはイスラエル参謀本部の一部署で、同国のサイバー諜報活動やサイバー攻撃・防衛を担っている精鋭部隊だ。イスラエルでは高校卒業後に兵役の義務があるが、優秀な上位1%のみが8200部隊に配属され、配属にはプログラミングや数学、ハッキング技術、語学などが優秀な成績である他にチームワーク、協調性、リーダーシップなど人間的な面でも評価される。8200部隊出身者らが作ったり、働いたりしているサイバーセキュリティ企業が非常に多い。

 起業や研究開発には多額の予算と人材が必要だが、それらを入手するために欧米の企業に売却したり、買収されたりすることもある。今回のイスラエル政府の資金提供で、イスラエルのサイバーセキュリティ産業が盤石になることが期待されている。