イスラエル「ホロコースト生存者の支援と記憶の継承」のためのハッカソン

「Spark Hackathon」(TLV Starters)

 イスラエルのテルアビブで2018年5月10日~11日にかけて36時間にわたる「Spark Hackathon」と呼ばれるハッカソンが開催された。イスラエルのスタートアップなど23チームが出場。上位3チームにはそれぞれ賞金が出された。

「Spark Hackathon」の様子(TLV Starters)
「Spark Hackathon」の様子(TLV Starters)

ホロコースト生存者の支援と記憶の継承

 このハッカソンの目的は、ホロコースト教育、生存者たちの記憶の保存、生存者たちの生活の向上支援に役立つ新たなサービスの開発と、今後のホロコーストに関わる教育や記憶の保存に役立つプラットフォームの構築だ。イスラエル証券取引所やイスラエルのベンチャーキャピタルやホロコースト関連の財団、マイクロソフト、テルアビブ大学など多くの団体が審査や資金提供でハッカソンを支援。

 第2次大戦でナチスドイツに約600万人のユダヤ人が殺害された。イスラエルは戦後にシオニストたちが建国した国家で、その通底には「2度とホロコーストの犠牲者にならない」という強い意志がある。イスラエルの多くの高校生は徴兵に行く前にポーランドにあるアウシュビッツ絶滅収容所などを訪問し、2度とユダヤ人がホロコーストの犠牲にならないことを誓ってから徴兵に行く。そして現在でも多くのホロコースト経験者や生存者がイスラエルには住んでいる。

「Spark Hackathon」の様子(TLV Starters)
「Spark Hackathon」の様子(TLV Starters)

 だが一方で、戦後70年以上が経過し、ホロコースト生存者の高齢化も進み、生存者も年々少なくなっている。ホロコーストの生存者たちの支援と次世代への記憶の継承はユダヤ人にとっても課題となっている。そのためホロコースト生存者らの支援と記憶の継承やホロコースト教育に資するためのプロダクト開発が重要になってきている。

優勝は「VRでホロコースト時代を再現」

 今回のハッカソンでは以下のチームが上位3位だった。

(3位) Meetnadev

ホロコースト生存者とボランティア、医師などの専門家を繋げるためのデータベースを開発。誰もが無料で利用できる。

(2位)Hilf

ホロコースト生存者たち、高齢者、障碍者らの支援を行うコミュニティ構築のためのモバイルアプリを開発。なお「Hilf」とはホロコースト時にポーランドにいたユダヤ人らの間で話されていたイディッシュ語で「Help」の意味。

(1位)Momento

ホロコーストで破壊されてしまったホロコースト以前のユダヤ人の歴史や名所とホロコースト時代のゲットーでのユダヤ人の生活、さらには強制収容所での様子などをVR(仮想現実)技術で再現。Momentoは「あなた自身の目で歴史を体験しよう」と掲げていた。

「Spark Hackathon」で優勝したMomento(TLV Starters)
「Spark Hackathon」で優勝したMomento(TLV Starters)