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Google、インドで地域Q&Aアプリ「Neighbourly」提供:地元住民がリアルタイムに回答

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 Googleインドは、地域の地元情報について質問したり、その質問に対して人間が回答できるソーシャルアプリ「Neighbourly」を2018年6月から提供した。

人間が音声とテキストでリアルタイムにQ&A

 まずはムンバイの地域での地元のQ&Aサービスを提供。Androidスマホのみで提供。ムンバイのような大都市ではスマホも多く普及しており、多くの人が150ドル前後の安価なAndroidを利用している。英語やヒンディー語など8カ国語で提供。無料で音声とテキストでの質問と回答のやり取りが可能だ。過去のQ&Aの閲覧も可能。

 Googleインドは「Neighbourly」を通じて、地域の地元情報のQ&Aと人間を結び付けていく。「近くの美味しいレストランはどこか?」「子供を連れて散歩に行くのに適した公園か?」といった地元に根差した地域情報の質問に、リアルタイムに人間が回答することができる。Googleの検索エンジンだけでは回答が出せないような地元の情報に対して、地元に住んでいる専門家やよく知っている人から回答してもらうことによって、Googleを多く利用してもらい、さらに地域情報の精度も高めていく。

世界規模でも整理されていないリアルタイムの地域情報

 「近くにある美味しいレストラン」「お勧めの学習塾」「現在、店舗で売っている商品」など地域情報の質問は決して難しい内容のものではない。だが検索エンジンでは答えを出すのは難しいものが多い。生活に密着したリアルタイムの地域の情報量は相当なものだが、ほとんど整理されていない。生活に密着したリアルタイムの地域の情報はインドのように人口12億人以上をかかえる大国だけでなく、世界規模でも把握することは容易でない。

 インドでも大量に普及したスマホを通じて、音声とテキストでリアルタイムにQ&Aを繰り返すことで、Googleは地域のあらゆる地元情報を収集できるようになる。地域の情報は些末だが、地元の人にとっては重要な情報だ。さらに「誰が、いつ、どこで、どのような質問をしているか」といった情報やデータを活用して人工知能(AI)を強化し、個人や地域特性に応じた広告の提供や新サービスの展開ができるようになる。

 

 またGoogleは以前からSNSなど人間が介在するソーシャル分野は弱かった。今回のインドでの取組はGoogleのソーシャル分野での新たな挑戦の1つでもある。

▼「Neighbourly」紹介動画(Googleインド)

「Neighbourly」イメージ図(Googleインド)
「Neighbourly」イメージ図(Googleインド)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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