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Google、広告が好調で増収増益:「AIファースト企業に」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

Alphabetは2018年4月23日、傘下のGoogleの2018年第1四半期(1~3月)の決算を発表した。

広告以外の収入も伸びている

 Alphabetの2018年第1四半期の連結売上高は前年同期比26%増の311億4600万ドル(約3.4兆円)で、純利益は73%増の94億100万ドル(約1兆円)。

 Alphabetの売上の99%以上がGoogleだ。そのGoogleの売上高は前年同期比26%増で309億9600万ドルで、営業利益は12%増の83億6800万ドルだった。Google事業にはGoogleの検索やYouTube、Android、アプリ、クラウド、Google Play、ハードウェアなどが含まれる。特にモバイル向けの広告とYouTubeが絶好調なことも例年通りである。

 Googleを支える広告収入は同24%増の266億4200万ドル(約3兆円)で、Googleの売上の約86%を占めている。従来からの広告依存のGoogleの売上構造は変わっていないものの、以前は90%以上が広告の売上だった。最近では、Google Play、YouTube Red、「Google Home」などハードウェアなど広告以外の売上が増加している。年々少しずつだが広告以外の売上が増加しており、Googleの収益構造が着実に変わろうとしている。

Googleの売上と広告収入(Alphabet発表資料を元に作成)
Googleの売上と広告収入(Alphabet発表資料を元に作成)

 「それ以外の事業」はGoogle Fiber、Calico、Nest、Verily、GV、Google Capital、Xなど多額の投資が必要な事業だ。売上高は前年同期比14%増の1億5000万ドルだったが、営業損失は5億7100万ドルの赤字で前期よりも1億3200万ドル減少している。売上高の伸びは好調だが、投資コストも多大なことから、まだ赤字は続くだろう。

その他売上高と損失の推移(Alphabet発表資料を元に作成)
その他売上高と損失の推移(Alphabet発表資料を元に作成)

『AIファースト』に向けてインドでもGoogle Home販売へ

 GoogleのピチャイCEOは前回の業績発表では人工知能(AI)を活用した音声アシスタントが既にスマホやGoogle Homeなど4億台以上のデバイスに搭載されていることを称賛し「Googleは『AIファーストの企業』になってきた」と語っていた。

 そして、2018年4月10日からインドでも家庭用音声アシスタントサービスGoogle Homeの販売を開始。インド人の話すあらゆるローカルなアクセントも理解するそうだ。インドではスマホが急速に普及しているが、その多くが100ドル程度の廉価版でGoogleが提供しているAndroidスマホだ。多くのインド人がすでにスマホでの音声アシスタントサービスは利用しているが、今後はインドの家庭でもGoogle Homeを普及しようとしている。インド人の多くの音声情報はAIの強化にも役立つ。そのAIを活用して、インドだけでなく世界規模で広告販売やさらなるサービス開発に活用できる。

▼インドでのGoogleアシスタントの広告(Googleインド)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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