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中国:大切な人の声が、何よりの薬「Voice Medicine」我が子の産声はストレス軽減にも

佐藤仁学術研究員・著述家
(北京電通廣告提供)

大切な人の声が、 何よりも効く薬

 中国の上海にある病院「上海国際医学中心」は2018年3月8日の国際女性デーを機に、家族の健康を日頃から支える母親たちをサポートすることを目的に新しい「薬」を開発した。

 「Voice Medicine」(声の薬)と呼ばれるもので、夫からのねぎらいの声、子どもからの感謝の声、友だちからの励ましの声、そして我が子の産声まで、大切な人からの温かい声をこっそり録音し、薬のカタチをしたボトルに詰めて母親たちにプレゼント。

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 一見錠剤が入った薬のボトルに見えるが、蓋をあけると中から大切な人からの声が聞こえてくる不思議なボトルの設計。多くの母親たちに嬉しいサプライズを提供した。ボトルのラベル裏側には、通常の薬のボトルにある成分表のように、ボトルに関する説明が書かれているなどディテールにもこだわっている。

我が子の産声はストレス軽減に。実験で判明

 特に、我が子の産声を聞くと実際にストレスが軽減されるということも、実験によって証明された。「上海国際医学中心」監修の元で、20人の育児中の母親を集め、産声を聞くことによるストレスレベルの変化を観察。ストレスを感じると、体内では「コルチゾール」というホルモンが生成され、このホルモンの数値が上がっていく。実験では、育児中の母親が出産時に録音した産声を聞く前後で計2回の採血を行い、血液中のストレスホルモン「コルチゾール」の値の変化を測定。

 その結果、産声を聞く前と聞いた後で、血液中の「コルチゾール」の値が平均で27%低下することがわかった。つまり、産声を聞くことでストレスが軽減するということが判明。実際に「薬」としての機能も果たすことができると考えているそうだ。

▼「Voice Medicine」の紹介動画(上海国際医学中心)

スマホ時代の新たな広告動画

 上記の動画は北京電通廣告が作成。中国では急速に経済的成長を遂げ、モノが飛ぶように売れてきた。そのような環境では、企業や商品の価値を一方的に伝える広告を流すだけで充分だった。しかしスマホの普及により、消費者がたくさんのコンテンツに日々接触するようになった現在では、消費者の共感を呼び、思わず人に教えたくなるようなコンテンツをつくることが重要になっていると北京電通廣告では分析している。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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