米国ホロコースト博物館、SNSで「#AskWhy」キャンペーン「なぜ起きたのか?問い続ける」
SNSを活用して「なぜホロコーストが起きたのか?を問うことをやめない」
第2次大戦時にナチスドイツによって、ユダヤ人やロマ、政治犯など約600万人が殺害された。いわゆるホロコーストだ。1993年に創設された米国のホロコースト記念博物館は今年で25年目を迎える。創設に尽力したホロコーストの生存者で、1986年にノーベル平和賞を受賞したエリ・ヴィーゼル氏は「ホロコースト記念博物館は答えを見つけるためにあるのではない。問いを行うためにあるのだ」と語っていた。
同博物館でディレクターを務めるSara Bloomfield氏は、博物館開設25周年を記念してSNSを活用したデジタルキャンペーン「"Never Stop Asking Why"(なぜホロコーストが起きたのか?を問うことをやめない)」を開始したことを明らかにした。
目的は若い世代にSNSを通じてホロコーストの歴史を学んでもらうため。「どうしてホロコーストが起きたのか?どうしてそのようなことが可能になったのか?現代社会に問うべきことは何か?」といったことを学んでもらいたいとSara Bloomfield氏は述べている。米国のホロコースト記念博物館では自身のサイトだけでなく、Facebook、Twitter、インスタグラム、YouTube、Google+、PinterestとあらゆるSNSで情報発信を行っている。
「考えられないようなことが、いつでも起こりうる」
そしてSara Bloomfield氏は「SNSで『#AskWhy』を付与して、ホロコーストの歴史について疑問に思っていることを呟いて欲しい」と呼びかけている。SNSでつぶやくことによって、その疑問を友人や知人と共有したり、世界に向けて情報発信することができる。
また同氏は「博物館のミッションは『考えられないようなことが、いつでも起こりうる』ということを人々に思い出させることだ。人々は社会での自分自身の役割を考えることによって、将来は過去よりも良いものを作ることができる」と述べている。
「ホロコーストがなぜ起こったのか?」その問いかけもSNSで発信してもらおうとしている。ホロコーストの生存者は年々減少し、証言できる人の高齢化も進んでおり、直接話を聞けることもなくなってきつつある。
SNS以外にも、ホロコーストの記憶の継承に様々なデジタルの活用も進んでいる。当時の資料や証言者の記録のデジタルでの保存、人工知能(AI)やホログラフィー技術などデジタルを活用して、ホロコースト生存者らの声を後世に語り継ごうとしている。
▼米国のホロコースト記念博物館では動画でも「なぜホロコーストが起きたのか?を問い続ける」ことを訴えている(米国のホロコースト記念博物館)
エリ・ヴィーゼルはホロコーストの記憶について以下のように語っている。