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ベトナム、増加する若者の「Facebook依存症」発作や幻覚症状で入院も

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:アフロ)

Facebookが気になって仕方ないベトナムの若者たち

 スマホが広く浸透しているベトナムでもFacebookが大人気で、5000万人以上が利用している。ベトナムの人口が9200万人だから、単純計算して国民の半分以上が利用していることになる。特に若者がスマホで常にFacebookでニュースや、友人が「いいね」をした情報をチェックしたり、写真をアップしたり、友人がアップした投稿を楽しんでいる。

 だが、スマホが浸透し、Facebookばかりが気になってしまい、学校や勉強に集中できなくなってしまうだけでなく、スマホとFacebookがないと生活ができない若者も増加してしまっている。ベトナムのメディアでは「Facebook依存症」と呼んでいる。

 そして、最近では過度のFacebook依存症で体調を崩し、入院までする若者も増えている。ハノイの18歳の女子高生は、毎日深夜3時までスマホを手放さないでいた。食事をしないでスマホばかりチェックしている時もあった。そして、心配した両親がスマホを取り上げると、ストレスで取り乱して叫び出したり、うつ状態になったりで地元の病院に1か月前から入院して治療を受けているそうだ。常に手元にスマホがあってFacebookをチェックしていないと心配なのだ。

スマホを取り上げられると発作や幻覚症状も

 他にも11歳の少年は、地方の祖父の家ではネットが繋がらないから行かなかったり、スマホが気になって授業をさぼったり、友人らと喧嘩をし始めたりした。両親がネット断ちをさせようと、スマホを没収し、自宅のインターネットを遮断したら、気絶して倒れてしまって、2日間寝込んでしまったとのこと。

 また14歳のFacebook依存症の若者はスマホとFacebookの利用を禁止したら、けいれんの発作を起こして幻覚症状に襲われた。

 ベトナムの医師によると、入院するまでの症状は極端だが、ベトナムの若者にはFacebook依存症の傾向が強く見られるとのこと。そして治療には半年から長くて5年以上かかるとのこと。対処が遅れるほど、治療にも時間がかかるとのこと。

 

 2016年にはベトナム国家大学ハノイ校が、人々を集めて、72時間(3日間)の「Facebook断ち」の挑戦を行った。しかし40%の挑戦者が6時間も耐えられなかった。それだけFacebookが気になって仕方がないのだろう。

 ベトナムで若者の「Facebook依存症」が社会の問題になっているが、日本では若者だけでなく多くの大人もゲーム、YouTube視聴、LINEでのやり取り、FacebookやTwitterなどのSNSなどをチェックするためスマホに夢中だ。スマホを取り上げられたら、取り乱してしまう人も多いだろう。決して対岸の火事ではない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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