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Google、インドで根強い人気のフィーチャーフォン向けにも「Googleアシスタント」提供

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 スマホに音声で「今日の天気」や「今日のニュース」などを問いかけて、音声が回答してくれる「Googleアシスタント」。最近ではGoogle Homeなど家庭にも入り込んでおり、テレビCMもやっているのでお馴染みになってきた。

ヒンディー語にも対応

 Googleは、Googleアシスタントのフィーチャーフォン版を開発して、インドの通信事業者Reliance Jio(Jio)が販売している「Jio Phone」で提供していくことを明らかにした。英語だけでなくヒンディー語にも対応。使い方は従来のスマホと同じで、音声で話しかけて利用する。天気やニュースなどの質問以外にも、検索や電話番号を教えてくれたり、Jioが提供する音楽や動画の再生などが音声で可能になったそうだ。Jio Phoneはフィーチャーフォンのため、Android OSではなく「KAI OS」という独自OSを使用している。

(Jio提供)
(Jio提供)

インドでは根強い人気のフィーチャーフォン、理由は価格の安さ

 インドでは1か月に約1000万台のスマホが販売され、だいぶスマホが普及してきた。それでもまだフィーチャーフォンもかなり売れている。その理由は価格だ。フィーチャーフォンはスマホに比べると圧倒的に安い。Jio Phoneも新品でデポジット込みで1500ルピー(約2500円)だ。スマホでは新品だと安くても5000円程度はする。そのためインドでは、まだフィーチャーフォンの需要は大きく、今でも利用している人も多い。

 フィーチャーフォンでインド人が利用する機能は主に電話(音声通話)とショートメッセージ(SMS)だ。ネットへのアクセスも可能だが、画面が小さいことと通信料金がかかることから、フィーチャーフォンでネットにアクセスするインド人は多くない。実際にJio Phoneもフィーチャーフォンだが4G対応だから、ネットへのアクセスは快適にできるはずだ。

 Googleにとって12億人以上の人口を抱えるインドは重要な市場だ。インドのフィーチャーフォン利用者にもGoogleアシスタントを提供することによって、Googleのサービスを利用してもらい、さらに様々なデータや情報を収集していきたいところだ。そこから収集できる様々なデータは人工知能の開発強化にも役立ち、広告配信など更なるサービス提供にもつながっていく。価格に敏感なインドでスマホの普及を待つよりも、フィーチャーフォン向けのGoogleアシスタントを開発した方が良いと判断したのだろう。

 またフィーチャーフォンの利用者からみても、小さな画面でのネット検索よりも「音声で知りたいことを聞いて回答してもらう」方が利便性は圧倒的に高い。インドだけでなく、多くの新興国では「スマホは高い」ということから、価格の安いフィーチャーフォンは今でも人気がある。従来のように電話とショートメッセージ中心だったフィーチャーフォンの使い勝手が大きく変わろうとしている。

▼JioPhoneでのGoogleアシスタントのデモ。「今日の天気は?」という音声での質問に対して「ニューデリーの天気」を音声で回答している。

Jio Phone

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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