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カナダのオンタリオ州で道路横断中の「歩きスマホ」禁止法案を提出:ホノルルに続くか

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:アフロ)

 日本だけでなく世界中で「歩きスマホ」による事故やトラブルが増加している。ハワイのホノルルで2017年10月25日から道路横断中の「歩きスマホ」が禁止となり、違反者には罰金が課せられるようになった。カナダのオンタリオ州でもホノルルでの動きに続こうとしている。

「電話を切って、前を見よう法案」

 オンタリオ州の議員のYvan Baker氏は、道路横断中の「歩きスマホ」を禁止とする法案を2017年10月30日に提出した。法案の名前は「Phones Down, Heads Up Act(電話を切って、前を見よう法案)」。同氏によると法案が可決されたら、例えば最初の違反では50ドル(約4,500円)で3回目は125ドル(約11,250円)の罰金を導入していきたいと検討していることを明らかにした。

 オンタリオ州はカナダ最大の都市トロントなどがある州で、カナダのの人口の約3分の1がオンタリオ州に集中しているカナダの政治・経済の中心でもある。トロントでは2016年だけで42人の歩行者が死亡事故に遭い、これは2002年の50人以来最大の数となった。2016年のカナダでの調査によると、カナダ人の18歳以上の66%が「歩きスマホ」禁止の法案に賛成とのこと。トロント市議会では2016年にも「歩きスマホ」禁止条例を施行しようとしたが、州に却下されたようだ。

 法案を提出した議員のYvan Baker氏は「法案の目的は、まず人々に注意喚起をしてもらうこと。歩行中の歩きスマホは危険であると認識して欲しい。道路横断中の歩きスマホは、自分自身だけでなく相手を傷つける恐れもあり、とても非常に危険」とコメント。

 トロント市長の John Tory氏は「歩きスマホ禁止の法案以外にもやらなくてはならないことが、たくさん存在する。まずは人々は歩道を歩く時に、自分自身の責任で注意すべきだ」と語り、市民への啓発の重要性を強調している。

 オンタリオ州で「歩きスマホ」禁止条例の施行までにはまだ時間がかかりそうだ。だが、ホノルルでの導入を皮切りに、今後も世界各地で「歩きスマホ」禁止条例と罰金導入の議論が起きるかもしれない。 

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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