南カリフォルニア大学、「ジェノサイド研究におけるデジタルアプローチ」会議を開催へ

(写真:Shutterstock/アフロ)

 南カリフォルニア大学のショア財団研究所(The USC Shoah Foundation Institute)は同大学のデジタル人文学プログラムと共同で、2017年10月に「ジェノサイド研究におけるデジタルアプローチ」に関する国際会議を開催する。ホロコーストやジェノサイド研究でのデジタル技術活用に関する取組や手法の他に、昨年アウシュビッツ収容所やカンボジアの虐殺博物館でポケモンGoが行われたといった倫理的な問題についても議論する予定。

 ジェノサイドは民族や共同体の大量虐殺、ショアはナチスによるヨーロッパのユダヤ人大虐殺を表す言葉(ホロコーストが一般的)。現在でのジェノサイド研究において、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、虐殺現場での地理情報システム(GIS)技術の活用、証言録画のアーカイブなどが注目されている。先日もホロコーストの生存者が絶滅収容所をVRで表現したショートフィルム「The Last Goodbye」が公開された。また、リトアニアではホロコースト時代にユダヤ人らがスプーンで堀ったトンネルが最新技術を活用して発見されたこともあった。同研究所のWolf Gruner氏は「国際会議を通じて、ホロコーストや多くのジェノサイド研究においてデジタル技術を活用した新たな研究手法を開拓していきたい」とコメントしている。

55,000以上の証言を収集

 南カリフォルニア大学のショア財団研究所は1994年に映画監督スティーブン・スピルバーグによって設立。スピルバーグはホロコースト時代を舞台にした映画「シンドラーのリスト」の監督としても有名。同研究所では20年以上にわたって、ホロコーストに関するあらゆるデータや証言を集めている。またホロコーストだけでなく、アルメニア、ルワンダやグアテマラの大虐殺など55,000以上の証言を集めている。同財団では既に多くのホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の生存者からの証言を録画した動画をYouTubeにもアップされている。これらの動画などは全米だけでなく世界中でのジェノサイド教育に活用されているそうだ。

 たしかに従来のように証言集を紙の本で読むよりも効率的だし、紙面の都合で編集されることも少ない(動画の証言は全長でほとどんが2~3時間以上)。また動画を通して証言者の顔を見て、言葉を直接聞くことができるので、紙の本よりも遥かに臨場感が伝わる。さらに言葉を理解できなくても、翻訳されているので読解も可能だ。また動画はネット上にあるので、誰もがどこからでもアクセスが可能だ。同研究所のMartha Stroud氏は「歴史研究家がこれらの証言動画を研究に活用しはじめることによって、今までになかったような新たな発見や歴史研究が登場するだろう」とコメントしている。

以下のようなホロコーストや世界各地でのジェノサイドの証言を動画で記録して公開している。

南カリフォルニア大学のショア財団研究所