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中国人観光客向けの支払い手段として無視できなくなってきた「アリペイ」

佐藤仁学術研究員・著述家

 2017年7月19日から21日まで東京ビッグサイトにて「インバウンド・ジャパン2017」が開催されていた。旅行、航空、IT、出版、メディアなど多数の業界が出展。訪日外国人をターゲットにした様々なサービスや商品を紹介していた。その中でも特に目を引いたのが、中国最大の決済サービス「アリペイ」だ。

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日本でも中国人観光客が多い店舗での普及が進んできた
日本でも中国人観光客が多い店舗での普及が進んできた

5億人以上の中国人の支払いプラットフォーム

 日本人は日本でアリペイを利用できないことから、まだ馴染みがないかもしれないが、中国では誰もが知っている決済手段だ。人口13億人以上の中国で、5.2億人のアクティプユーザーがいる。

 

 中国ではコンビニや多くのデパートをはじめ、路上の屋台でも利用できる。2004年からサービスを提供しているが、スマホの普及でいっきに中国人支払手段として根付き、支払だけでなくホテルの予約、タクシーの手配、公共料金の支払いまでありとあらゆるシーンで利用できるようになり、アリペイはまさに生活の一部になっている。

 アントフィナンシャルジャパンのHelen Shum氏は「日本でもコンビニエンスストアやデパートなどがアリペイを導入している。アリペイは中国はもちろんのこと、日本以外の海外で中国人が行く場所での導入は進んでいる。中国人の支払い手段として中国で一般的になっているアリペイが利用できることは日本の店にとっても大きな差別化になる」と語っていた。確かに中国人が中国で使っていたスマホをそのまま持ってきて日本の店でも支払ができるので中国人にとっての利便性は高い。

 2016年の訪日外国人2400万人のうち、中国人は630万人。2015年には「爆買」という言葉が話題になった。現在では落ちついてきたが、それでも中国人の日本での平均消費金額は19万円と他の外国人旅行客と比べても圧倒的に高い。かつては銀聯カードが主流だったが、中国人観光客への対応としてスマホで簡単に支払いができるアリペイは日本の店舗にとっても無視できない存在になってきた。

▼アリペイ紹介動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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