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インド初「交通整理と監視ロボット」

佐藤仁学術研究員・著述家
(Hidustan Times)

 人口12億人を超えるインドではどこの街でも交通渋滞が凄い。そのインドの都市インドールで、インド初となるロボットによる交通整理ロボットが2017年6月から導入された。地元の大学Venkteshwar Institute of Technologyがインドール警察の依頼を受けて、2年がかりで200万ルピー(約350万円)かけて開発。

 14フィート(約4メートル)のロボットが交通整理とビデオによる監視を行っている。ロボットはその高さから遠くからも見える。ロボットは回転して信号の役割も果たしており、秒数も表示されている。道路のそれぞれの方向の交通整理と確認ができる。リアルタイムに警察のセンターに動画は転送されており、交通違反をした車には罰金の請求書が送られる。

「みんな信号を守るようになった」

 地元のメディアでも話題で、このロボットを見に来る人も多いそうだから、かえって交通渋滞がひどくなっているかもしれない。インドール警察のHari Narayan Chari氏は「この取組は大成功。毎日ロボットが道路を監視し、交通整理をしてくれる。今まで警察官(人間)が監視していたが、インドールの街でもっと導入していきたい」とコメント。

 人間の警察官と違って、高い視点から360度の監視と交通整理が可能。疲れないで24時間働ける。通常なら2人の警察官が必要な交通整理の仕事を1台のロボットで対応できる。道路に固定されているので、動くことはないため、交通違反した車の追跡や逮捕はできない。だが地元メディアによると「ロボットを導入したら普通の信号よりも、みんなが信号を守るようになった」とのこと。

 ドバイでも先日、ロボット警察が導入された。ドバイでは2030年までに警察の仕事の25%をロボットに置き換える予定。まだ機能は限定されているが、人間の警察官の業務を代行するロボットの導入が進んでいる。

インドールの街で交通整理をしながら監視するロボット
インドールの街で交通整理をしながら監視するロボット

インドールで導入されたインド初の交通整理ロボットを報じる地元のニュース。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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