IoTでトイレの危機的状況を回避:空室確認から緊急時の発見、犯罪防止まで
デパートやアミューズメントパークでトイレが満室で困った経験がある人は多いだろう。「最初から個室が空いているトイレに行けたらよかったのに」と思った経験をしたことがある人もいるだろう。
トイレが空いてなくて困った!スマホなどで空室状況が一目でわかる
そのようなトイレの空室状況をリアルタイムに把握できるようになった。レンジャーシステムズが開発し、2016年5月から提供している「トイレsearching」だ。トイレの個室のドアにマグネットセンサービーコンが付いており、ドアが閉まっていたら、閉まっていることを検知。その情報はゲートウェイによりLTEまたはWi-Fi経由でリアルタイムにサーバに転送され、空室状況をスマホや施設内のモニターなどでチェックできる。2017年5月に開催されていたWireless Japanでも注目を集めていたIoTの活用法だ。既にいくつかの商業施設や鉄道駅、オフィスでの導入が進んでいる。
デパートやアミューズメントパークなどで、お客様がスマホやモニターをチェックして、「満室だから、別のトイレに行こう」と空室のあるトイレを探すことができる。デパートなど施設側も、待ち人数を可視化することによって、滞留時間の分析や人数カウントなど施設の運営に役立てることができる。そのためお客様がトイレで行列をつくらずに効率よくトイレの利用ができるので、そのぶん買い物などを楽しんでもらえる。
トイレの危機的状況もすぐにわかる
「トイレsearching」でできることは個室の空室状況の確認だけでない。トイレの個室が空いているかどうかも危機的な状況だが、生死に関わる本当の緊急事態の対応にも活用できる。トイレの個室は、完全にプライバシーを重視していることから、監視カメラを設置することができない。警備員でも入りにくい空間だ。そのためトイレの個室で倒れてしまい、気が付かれないこともある。お客様や会社なら社員から「あそこの個室、ずっと閉じたままでになっている」と連絡があって、ようやく警備員や担当者がチェックしに行くことがほとんどだが、その時には既に手遅れの可能性もある。
この「トイレsearching」を設置しておけば、例えば「トイレの個室のドアが30分以上開かない場合は警備員が駆け付ける」「総務担当に連絡がいく」といった設定も可能。このシステムを導入したオフィスでは緊急時の早期発見が可能になったと好評だ。さらに犯罪防止にも活用できる。
トイレは監視カメラを設置できないプライバシー空間だ。IoT(Internet Of Things:モノのインターネット)というと難しいイメージだが、トイレの個室のドアが閉まっているかどうかをセンサーで認識して、その情報を開示するだけで、トイレの利便性の向上から危機回避まで役立てることができる。