ユニセフ、ネット上の子どもの性的搾取など犯罪防止に向けたガイドブックを発表

ネットカフェで自分のSNSをチェックする女の子(マニラ)(C) UNICEF

世界規模でスマホやネットの拡大によって、子どもの性的虐待に関するコンテンツがネット上で驚異的に拡散するなどインターネットは、子どもたちを新たな、また進化する形態の性的搾取の危険性に晒している。性的なテキストメッセージまたは写真をスマホ間で送るセクスティング(sexting)のような行為も子どもたちを性的虐待や搾取の危険に晒している。またそのようなコンテンツは「online grooming」と呼ばれるネットでの勧誘は大きなビジネスにもなっており、日本にとっても決して対岸の火事の話題ではない。

そこでユニセフは2017年5月に、児童に対する商業的な性的搾取の根絶を目標とする国際的ネットワークECPAT Internationalおよび世界宗教者平和会議(Religions for Peace)と協力して、世界の宗教コミュニティによる子どものインターネット上の性的搾取に対する予防、対処及び終結に向けた取り組みを強化することを目的とした新たなガイドブック「インターネット上の性的搾取から子どもたちを守る(Protecting Children from Online Sexual Exploitation)」を発表した。

新しいガイドブックは、宗教を基盤とした組織や宗教指導者たちが、この問題に関する考え方に影響を与え、議論を喚起し、基準を設定するなど道徳的権威を活用した活動ができるユニークな立場にある。また宗教指導者たちは、加害者が助けを求めたときに行動を起こしたり、家族に対して子どもを守るためのアドバイスやツールを提供することも出来る立場にある。

SNSで性的虐待の被害に遭った女の子(エルサルバドル)(C) UNICEF
SNSで性的虐待の被害に遭った女の子(エルサルバドル)(C) UNICEF

ガイドブックは、例えばネット上で子どもたちが晒されるリスク、ネット上の子どもの性的搾取の影響、加害者および人身売買やあっせんを行う仲介者の歪んだ動機について説明している。この犯罪に対処するための宗教コミュニティの重要な役割を示し、彼らの精神的、道徳的、社会的影響ならびに子どもに対する暴力を終わらせるための義務についても指摘。さらに子どもの保護についての異なる宗教の視点を提供すると同時に、宗教指導者やコミュニティが子どもの正義と保護を追及するために取るべき行動についても、以下のように示している。

・安全で子どもにやさしい空間の提供:すべての礼拝所や宗教的施設は、暴力の被害者を含む子どもや青年に対して安全、サポートを提供し、安全で子どもにやさしいコミュニティの構築を手助けする。

・意識の向上:人々は宗教指導者に道徳的な指導やアドバイスを求める。宗教的指導者はこのガイドブックを使い、タブー視されていた性的虐待や搾取についてそれぞれの宗教が伝統的にどのような見解をもっているか等についてコミュニティと話し合う。

・ 虐待の報告:宗教的指導者は子どもたちやコミュニティのメンバーが搾取や虐待の例を報告するように促し、またコミュニティの誰かが、子どもたちが危険に晒されていることを知っていたり、懸念することがあれば、警察やヘルプライン等の第三者に連絡する。

・子どものためのアドボカシー(政策提言):宗教指導者や宗教コミュニティは、性的暴力のリスクや影響に関する情報を共有し、子どもたちを保護するための地域に根差した施設を支援することで、子どもや青年にとってより安全な世界の構築を手助けする。

・協力:宗教コミュニティはネット上の子どもの性的搾取の問題に取り組むために、目的、資源、経験を共有できる他の団体と協力する。

子どもたちの中には金銭や生活のために自らの意志で性をネット上で商品化する子もいるかもしれない。だがネット上の性的搾取に対しては基本的に脆弱な立場だ。ネットでは誰も簡単にあらゆるコンテンツにアクセスできる。そしてあっという間に写真や情報も拡散されていく。子どもたちへの性的虐待、搾取など犯罪を確実に防止するためにガイドブックを活用していくことが求められている。

ECPAT InternationalのDorothy Rozga事務局長は子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)第5回フォーラムで「もし世界がインターネット上での子どもの性的搾取を根絶しようとするならば、世界で最も影響力のある組織がその役割を果たさなければなりません。そして宗教コミュニティ以上に影響力を持つ団体はないに等しい。約50億人に上る世界のほとんどの人々が宗教コミュニティに属していていることを考えれば、宗教指導者たちには潜在的に、この恐ろしい犯罪との戦いを先導できる大きな可能性がある」と述べている。

またユニセフのプログラム局長エドワード・チャイバン氏は 「インターネット上の性的虐待と搾取は、男の子にも女の子にも関係する世界的に悪化している問題。多くの場合、それは家の中やコミュニティの中で最も親しい間柄の人々の手によって行われ、子どもたちは黙って耐えるしかありません。宗教コミュニティや宗教を基盤とした組織は、彼らが持つ信条(価値)、道徳的権威や広範なネットワークを通して、この犯罪を取り巻く沈黙を破り、子どもたちをこの非道な行為から守り、影響を受けた子どもたちには傷を癒し保護するために必要不可欠な支援サービスに繋げるという重要な役割を果たしていく」と述べている。

「インターネット上の性的搾取から子どもたちを守る(Protecting Children from Online Sexual Exploitation)」