Yahoo!ニュース

スイス、2018年までに医療用サンプルの輸送はドローンで

佐藤仁学術研究員・著述家
(Matternet提供)

スイスの国営郵便局スイスポストは、病院間での血液サンプルなどの医療用サンプルの輸送にドローンを活用することを明らかにした。スイス連邦民間航空局(Federal Office for Civil Aviation:FOCA)からも許可を得たことを2017年3月末に発表した。

血液サンプルを運ぶドローン(Matternet提供)
血液サンプルを運ぶドローン(Matternet提供)
スマホで操作してドローンは離陸(Matternet提供)
スマホで操作してドローンは離陸(Matternet提供)

スイスポストは米国のドローン企業Matternetと提携して医療用サンプル輸送のドローンを開発。現在までに既に70回の試験飛行をスイスのルガーノで実施。最大2kgの荷物を20キロ先まで運ぶことが可能。血液サンプルなど決して重くないのでドローンでの輸送には最適とのこと。2018年からはドローンによる病院間での医療用サンプルの日常的な輸送が行われる予定。

現在は道路で自動車による輸送だが、交通渋滞で時間もかかるし、運転手や自動車のコストもかかる。ドローンによって時間短縮、コスト削減が期待されている。ドローンの時速は36km、特に輸送時間の短縮は患者の命を救うことにもつながるとのこと。

医療分野でのドローンによる輸送はスイスだけでない。ドイツでは北海の孤島の住民に薬を届けたり、ルワンダでは政府が血液や衣料品をドローンで輸送しているそうだ。

ドローンの商用化が着実に進んできているが、これからはドローンの利用目的や何の物品をどこへ配送しているかの情報公開などが重要になる。地上にいる住民から見るとドローンが頭上を飛行するのは不安だ。監視や撮影をされているかもしれないし、怪しい物体を運んでくるテロかもしれない。「あのドローンは医療用品を病院に運んでいるんだ」ということがわかると地上にいる住民も安心するだろう。

▼スイスポストが公開したドローンによる血液サンプルの輸送試験の動画。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事