アンネフランク財団とFacebook、チャットボットでアンネフランクと対話できるサービス提供

(写真:REX FEATURES/アフロ)

2017年3月21日にオランダにあるアンネフランクの家を管理するアンネフランク財団はチャットボットでアンネフランクと対話できるサービスの提供を開始した。チャットボットとはユーザーからのメッセージに対して適当な回答を人工知能が返信してくれるサービスで、飛行機のフライト予約やショッピングサイトなどでの買い物のおすすめ商品紹介などに活用されている。サービスを開始した3月21日は「国際人種差別撤廃デー」であり、ナチスによるユダヤ人迫害で密告に隠れ家にいたがよって捕まり収容所で死亡したアンネらを悼んでいる。

アンネフランクと対話できるチャットボット
アンネフランクと対話できるチャットボット

ナチスがオランダに侵攻した1940年5月以降、オランダのユダヤ人14万人は周囲のオランダ人社会から隔離されていった。1942年5月には黄色の星をつけることを義務付けられた。1942年7月にはアムステルダムでユダヤ人数千人が逮捕され、1,135人のユダヤ人を乗せた最初の移送列車がオランダを出発し東部の強制収容所へ向かい、多くのユダヤ人が虐殺された。

ユダヤ人というだけで迫害されることを逃れるためにアンネフランクの一家など8人が、オランダのユダヤ人大移送が始まった1942年7月からから約2年間ほどアムステルダムの隠れ家に潜んで生活していた。当時大人を匿うことは子供に比べて、より困難だったことから、実はアンネのようにユダヤ人の家族全員がそろって潜伏することは非常に危険で稀だった。アンネらを密告した者は今でもわからないが、当時ユダヤ人の潜伏を通告するとユダヤ人1人につきソーセージ1本、酒3分の1本と25ギルダーのお金が貰えた。

その「アンネの家」は今でも世界中からの観光客や要人の訪問が後を絶たない。年間100万人以上が訪問している。日本で図書館や書店の「アンネの日記」が破られる事件、いわゆる「アンネの日記破損事件」直後の2014年3月には、安倍首相がオランダを訪問した際にはアンネの家を訪れて館長と懇談した。ナチス侵略時代に隠れ家での生活を綴った日記が「アンネの日記」で全世界で67か国語に翻訳され約3,000万部発行されており、日本でもお馴染みで、現在でも世界中で読まれている。

チャットボットでアンネフランクと対話

アンネフランクとの対話はオランダのFacebookが協力してチャットボットで行われる。アンネの家の解説だけでなく、メッセンジャーで質問をするとアンネフランクや当時の世情や生活の様子など大量の情報を蓄積し機械学習した人工知能が適切な回答をしてくれる。日本語には対応していない。

アンネフランク財団のRonald Leopold氏は「世界中の特に若い人々がチャットボットを通じてアンネやアンネの家族、当時の様子などを学んで欲しい。オランダのFacebookが提供してくれた人工知能でのチャットボットは、単なるガジェットを超えている。新しいテクノロジーはまさにこのように使われるべきだ。チャットボットを通じて、現在社会が直面している人種差別の影響やリスクを考えてほしい」とコメントしている。

アンネフランク財団によると博物館としてFacebookのメッセンジャーの技術を活用してサービスを提供するのはアンネの家が世界でも初めてとなる1つだろうと述べている。アンネの家は今回のチャットボット以外にも様々なデジタル技術やサービスを活用して、アンネの日記や当時の様子を伝えている。YouTubeには公式チャンネルもあり、多くの動画もアップされている。

アンネフランク財団ではアニメ動画も作成してアンネの様子を伝えている。