Apple、中国に新たな研究センター設立:サムスンが売れなくなった中国で足場を固められるか

(写真:ロイター/アフロ)

Appleは2017年3月17日、中国の上海と蘇州に研究開発センターを開設することを明らかにした。35億元(約560億円)を投資し、2017年のうちにオープンする予定。北京、深センにある研究センターと合わせて、中国本土で4つの開発拠点が設置されることになる。北京大学、清華大学などの卒業生を技術者として雇用していくことや中国市場におけるサプライチェーンの構築を目指していく。

Appleは中国に22のオフィスがあり、46の店舗があり12,000人以上が働いている。さらに、中国全土で480万人の雇用創出に貢献しているとのこと。180万人がiOSのアプリ開発者だそうで、残りのほとんどが製造工場での従業員だろう。

サムスンが姿を消した中国市場で足場を固めたいApple

IDCの調査によると2016年に1年間に中国で出荷されたスマホは4億6,730万台。中国のスマホ市場はもちろん世界一の出荷台数で、日本で1年間に出荷されるスマホは3,000万台弱だから、日本の15倍以上の市場規模だ。そのうちAppleは4,490万台でシェアが10%弱で4位だ。中国ではかつてはスマホは1位は圧倒的にサムスンだったが、中韓関係の冷え込みからサムスンのスマホはもう売れないようだ。その代わりに大きく台頭してきたのが地場のOPPOとvivoだ。サムスンが1位だった頃、中国の地場メーカーとして強かったXiaomi(小米)は現在は5位まで落ち込んでいる。

Appleは中国だけでなく世界中で値下げしないので、高価なスマホしか販売していない。見栄っ張りの中国人にはiPhoneは人気だが、ピンからキリまであらゆる端末を提供しているOPPOやHuaweiと比較すると、出荷数とシェアで上位に入るのは厳しい。それでも2015年には5,840万台を出荷しておりシェアも13.6%あったことから、中国市場でのAppleの出荷台数が減少している。サムスンが売れなくなった中国のハイエンド市場をAppleが奪えていない。

中国におけるメーカー別スマホ出荷とシェア(IDC発表資料を元に作成)
中国におけるメーカー別スマホ出荷とシェア(IDC発表資料を元に作成)

Appleにとっても重要な中国市場

また中国市場はAppleの売上規模でも約20%を占めており、国としてはアメリカに次ぐ重要な市場だ。値下げして安いスマホを販売しないAppleにとって中国市場で売れなくなると、インドやインドネシアのような人口が多い他の新興国ではiPhoneを購入できる層はまだ限定的であるため中国市場での売上増は必至だ。

またAppleもGoogleやFacebookと同様に人工知能の開発に注力している。GoogleやFacebookは中国市場には進出できないため、多くの中国人は利用してない。だがAppleは人工知能開発と強化に必要な莫大なデータや中国語の情報を中国市場から収集ができる。そのためにもAppleとしては、iPhoneが中国市場でもっと売れて、多くの中国人に利用してもらわないとならない。

Appleにおける中国での売上推移(Apple発表資料を元に作成)
Appleにおける中国での売上推移(Apple発表資料を元に作成)

人工知能を強化してAppleが目指しているApple Homeの紹介動画。