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今年もサンタクロース追跡の季節がやってきた:61年目を迎えた「NORADサンタ追跡」

佐藤仁学術研究員・著述家

北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)は2016年12月1日、毎年恒例のサンタクロース追跡サイト「NORAD Tracks Santa」を公開した。12月24日には、世界中を駆け巡るサンタクロースの様子をインターネットで追跡できる。今年もTwitter、Facebook、YouTube、Google+などのソーシャルメディアでもサンタクロースを追跡できる。

1955年(昭和30年)からサンタクロースを追跡、今年で61周年

NORAD は1955年からサンタクロースの追跡を行っている。2016年で61周年である。

米国コロラド州のカタログ通販会社シアーズ ・ローバックが「サンタへの直通電話」を開設したが、広告に掲載した電話番号はNORAD の前身である CONADの司令長官へのホットラインだった。広告には「良い子のみんな!サンタに電話してね!」と書かれていた。

間違い電話のきっかけとなった当時のシアーズのカタログ(NORAD)
間違い電話のきっかけとなった当時のシアーズのカタログ(NORAD)
追跡が開始された頃のNORAD(NORAD)
追跡が開始された頃のNORAD(NORAD)

子供たちからの電話を受けた司令官は、部下にレーダーでサンタクロースを追跡するよう指示し、次々に電話をかけてくる子供たちに、サンタクロースの現在位置を伝え続けた。そのような、ひょんなきっかけから始まったNORADのサンタクロース追跡はついに61年目を迎えた。そしてNORADは今でもサンタクロース追跡を誇り高き重要な任務と位置付けている。

NORADがサンタクロースの追跡を開始したのは、「もはや戦後ではない」と経済白書で称された1956年の1年前(昭和30年)である。日本が高度経済成長に入る直前であった。その頃からNORADは61年にわたって毎年サンタクロース追跡を行っている。サンタクロース追跡が開始された当時、アメリカは米ソ冷戦の真っただ中で、NORAD自身、本業は今でも人工衛星や核ミサイルの動向を監視する機関だ。

インターネットの登場で大きく変わったサンタクロース追跡

1955年から実施しているサンタクロース追跡だが、インターネットの登場によって追跡方法も情報発信も大きく変わった。1997年にWebサイトを立ち上げてインターネットでの情報発信を行っている。1998年からはレーダー、人工衛星、サンタ・カメラ、ジェット戦闘機の最新鋭システムを活用してサンタクロースの追跡を行っている。

現在のNORADの様子
現在のNORADの様子
サンタ追跡の様子(NORAD)
サンタ追跡の様子(NORAD)

1955年から冷戦期の長い間は電話で対応していた。その時代に比べると格段の差である。電話のみではアメリカ時間のクリスマスイブにアメリカにいる人以外はアクセスできる機会も少なかった。インターネットの登場により全世界の人たちがパソコンの前で世界中からサンタクロースの追跡ができるようになった。そしてソーシャルメディアでもサンタの追跡が確認ができる。2016年12月現在で、NORADのFacebookページは161万、Twitterは16万のフォロワーがいる。

またNORADのサイトは英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、中国語、日本語の8か国語に対応している。スマホ向けのアプリもあり、手元のスマホからサンタクロースの追跡もできる。

NORAD Tracks Santa 2016

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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