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Google、インドで「トイレ探しアプリ」:7億人以上が外で用を足すインド人にトイレ利用を促進

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

Googleはインドの都市開発省(Ministry of Urban Development :MoUD)と提携して、インドの町でのトイレ探しアプリ「toilet locator(トイレットロケーター)」を開発していくことを明らかにした。インドのGoogleマップの中に近くにあるトイレが表示されるようで、2016年11月15日から30日までデリーでトライアルを行う。

7億人以上がまだ外で用を足しているインド

インドでは車で移動していると、路上やら河原などで用を足している人を車中からやたらと目について嫌な思いをした人も多いだろう。トイレがまだまだ普及していないインドでは老若男女を問わず、外で用を足している人が多い。人口12億人以上と世界2位の人口をかかえ、将来は世界一になるであろうインドだが、70%の家庭にはトイレがない。そして人口の60%にあたる7億2,000万人以上が外で用を足している。そのため当局としては衛生面や近代化、国民啓発のためにもトイレの利用を促進しようとしている。

インドではスマホはだいぶ普及してきた。そこでインドでGoogleで「toilet」や「lavatory」またはローカル言語でトイレを意味する「swach」「swachhata」「shulabh」「shauchalay」などを検索すると、モールや病院、駅、レストランなど一番近くのトイレが地図上に表示されるようになるそうだ。それでインド人に、外で用を足したりしないで、近くのトイレを利用してもらうことを促進していこうとしている。

トイレ情報もGoogleが把握

さらに当局では、利用者からのフィードバックでトイレ探しの精度を高めていくそうだ。インドでは下水道が完備していない場所も多いので、使いたくもないようなトイレがまだたくさんある。利用者からのフィードバックで、そのような「不衛生で汚いトイレ」はGoogleマップから削除したり、トイレが「使用中」かどうかもわかるようにして利便性を向上していきたいと述べている。

トイレは人間生活において欠かせないものだ。Googleの「toilet locator(トイレットロケーター)」はインド人のトイレ利用促進のためだけでなく、外にいてトイレを利用したい時に「一番近くのトイレがどこにあるか?」「きれいなトイレか?」「使用中でなくて、すぐに使えるか?」という多くの人にとっても便利だろうし、このような要望は世界中で多いはずだ。

近い将来、インドだけでなく、世界中で「トイレ検索」ができるようになるかもしれない。世界中のあらゆる情報を収集しているGoogleだが、「トイレの情報」まで握ろうとしている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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