Google、インドで「YouTube Go」:動画はスマホに保存してオフラインで視聴
Googleは2016年9月27日、傘下のYouTubeをオフラインでも視聴できるアプリ「YouTube Go」をインドで提供することを明らかにした。
通信環境の良くない新興国でも動画を
オフラインでも動画を視聴できる「YouTube Go」はまずはAndroidスマホのみが対象で、提供するのもインドだけだ。インドのような新興国では日本のように全国津々浦々どこでもネットに繋がるという環境ではなく、ネットワークが安定していることが少ない。そのためYouTubeのような動画を視聴していると、特に長時間の動画の場合、回線が不安定で途中で再生できなくなってしまうことが多い。
そこで「YouTube Go」では回線が安定している時に、動画をスマホに保存しておいて、後でオフラインでも動画を再生できる。さらに動画をダウンロードする時には解像度を選択できるのでスマホの保存容量や回線スピードに応じた保存ができる。またスマホに保存した動画は、スマホのBluetooth機能で、友人のスマホへ動画の転送が可能だ(Bluetoothなので通信費はかからない)。
通信環境の良くない新興国でも動画視聴を
この「YouTube Go」はYouTubeのプロダクトマネジメント担当VPのJohanna Wright氏がインドを訪問した時に、2Gネットワークで動画の視聴に苦戦しているインドの若者らを見て、アイディアを思いつき、インド15都市で数百人を対象に試験を行いながら開発を進めてきたそうだ。
インドでは急速にスマホが普及しており、多くのインド人がスマホでYouTubeの動画を楽しんでいる。特にインド人は音楽やクリケット、「Bollywood(ボリウッド)」に代表されるインド映画が大好きで、それらの動画コンテンツをスマホで視聴している。しかし、全国どこでも3GやLTEが快適に利用できる日本とは異なり、インドのような新興国では通信環境は決してよくない。Googleがインドの駅やカフェなどで無料Wi-Fiを提供していこうとしているが、それでもまだ全国に行き渡っているわけではない。
新興国で変わる動画視聴スタイル
ネットワークが安定していない新興国などでは、大学や職場、カフェやショップなど「高速で安定した無料Wi-Fiが利用できる場所」で動画の視聴を行うことが多い。これからはそのような場所で動画だけダウンロードして、その動画をあとで通信費もネットワーク品質も気にせずに好きなところでいつでも見ることができるようになる。そして誰かがダウンロードしてきた動画を簡単に友人同士でシェアしていけるようにもなる。
「YouTube Go」のインドでの提供は、まだテスト段階とのことで商用化の具体的な時期やインド以外の国での展開は不明だ。またYouTube自身のビジネスモデルは広告収入で動画視聴前や視聴中に広告が表示または配信されているが、スマホに動画を保存して、友人らともシェアできる「YouTube Go」のビジネスモデルは明らかにされていない。