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Google、インドでAndroid開発トレーニングを無料で提供:3年間で200万人育成へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

Googleは2016年7月11日、インドで同社が提供しているスマホやタブレット向けOS「Android」のトレーニングプログラムを提供していくことを明らかにした。

(Google)
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インドでモバイルアプリ開発者200万人育成を目指す

Googleはインドで「Android Skilling program」をインド全土にある2,000以上の大学や職業専門学校やオンラインでで無料で提供していき、今後3年間でAndroid開発者200万人の育成を目指していく。インド政府の人材育成機関とも協力していく。インド政府ではモディ首相が「Skill India」という政策を主導しており、あらゆる産業でのインド人の人材育成と雇用創出を目指している。

GoogleのCaesar Senugupta氏によると、インドではソフトウェア開発者が2018年までに400万人以上になり世界1位となるが、モバイルアプリの開発者はそのうちの25%(4分の1)の100万人のみだそうだ。日本から見たら、それでも相当な人数に見えるが、GoogleとしてはインドでAndroid向けのモバイルアプリの開発者を増加させていきたい。

Googleは2015年にインドでeラーニングサービスUdacityと連携してAndroid開発者向けの教育プログラム「Android Nanodegreeプログラム」を提供しており、毎月11,500人以上が受講している。

さらにGoogleでは「Associate Android Developer Certification」というAndroid開発者向けの試験も提供し、コース受講者は能力を証明するための試験を受けることができる。試験は有料で6,500ルピー(約10,000円)だが、試験を受けて「修了証書(Certificate)」を授与した学生の就職につながることも期待されている。

優秀なAndroid開発者を囲い込みたいGoogle

世界的に見ても、インドは10年以上前からソフトウェア開発が強い。インドは欧米のIT企業のアウトソース先にもなっているので、たくさんの優秀なインド人のプログラマーやエンジニアがいるが、それでもモバイルアプリの開発者はまだ不足している。

現在、インドではiPhoneはまだ高くて購入できない層が多く、インドのスマホは地場のインドメーカーや中国の安いスマホがほとんどのため、Androidのシェアが圧倒的に多い。だがいつまでもインド市場でも安いAndroidのスマホが主流でいられるとは限らない。Appleも2016年5月にはバンガロールでiOSアプリの開発拠点を設置することを明らかにしている。

Googleとしても優秀なインド人の開発者にAndroid向けのアプリを多く開発してもらうことによって、インドだけでなく全世界でますますAndroidの勢力を強くしておきたいところだ。そのためにはインドでトレーニングプログラムを無料で提供することも重要な将来への投資だ。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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