2016年2月にインドの地場メーカーRinging Bellsから500ルピー（約800円）のスマートフォンが販売されることが明らかにされた。Ringing Bellsから500ルピーで販売されるのは「Freedom 251」で3G対応のスマートフォンで、販売開始に伴って、製品名と同じように251ルピー（約400円）の半額セールを行うことを明らかにした。その端末がついに2016年6月30日から販売されると報じられている。

予約だけで7,000万台、1か月に20万台ずつ出荷

Rising Bellはインドの首都ニューデリー近くのノイダに2015年に設立されたばかりの新興企業だ。ついに10ドル以下のスマートフォンの登場である。

2016年2月に発表してからオンラインで予約を受け付けたが「Freedom 251」は7,000万台の注文を受けていると報じられている。たしかに「400円スマホ」なら興味本位でも買いたい人も多いだろう。6月中に予約のうち250万台を出荷し、その後1カ月に20万台ずつ出荷していく予定らしい。

日本では2015年の1年間で出荷されたスマホの台数が3,577万台だったから、「Freedom 251」は予約だけで日本の2年分のスマホの出荷台数分くらいあることになる。さらに日本のその3,577万台の中にApple、SONY、シャープ、富士通など多くのメーカーからの多くの端末の合計台数だが、「Freedom 251」は1機種のみで予約が7,000万台だ。さすが人口が13億人を超えるインドは規模が違う。

「Freedom 251」はデュアルSIM対応、RAM1Gバイト、1.3GHzのプロセッサ、内部ストレージ8Gバイト、8メガピクセルカメラ、1800mAhのバッテリを搭載と報じられているので典型的なローエンドのスマホだろう。但し、まだその実物は登場していない。

「400円スマホ」だけで収益が上がるのかどうかは不明だが、Ringing Bellでは「Freedom 251」以外にも既に4Gスマートフォンを2,999ルピー（約4,800円）で販売している。ただ予約だけで7,000万台も注文があったのであれば、当面工場はフル稼働だろう。

格安スマホの普及で変わる生活

インドでは地方に行くとまだスマホや携帯電話すら所有していない人が多い。中にはカーストの理由で持てない人もいるが、その多くは端末が高いからだ。そのため中古のスマホや携帯を利用している人も多い。「400円スマホ」の登場によって、ここまで新品のスマホの費用が下がってくると、これからインドでのスマホ普及に拍車がかかるだろう。

そしてこのような格安スマホが地方や貧困層まで普及することで社会も大きく変わっていく。例えば、スマホの普及に伴ってFacebookやGoogleなどのサービスの利用者も増加し、インドでのコミュニケーションや情報収集のやり方も変わっていくと同時に、これら企業は世界2位の莫大な人口を抱えているインドから大量の情報やデータを吸い取り、人工知能の開発と強化に活用していくのだろう。