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進む駅のホームドア設置:それでも「歩きスマホ」は危険。乗降時のスマホはイライラと電車遅延の元

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

読売新聞(2016年3月16日)によると現在、全国の鉄道駅でームドアの設置が進められているとのこと。2015年9月末でまだ全国で6.5%程度だが、2020年までには800駅(約8.4%)まで拡大する予定とのこと。そして「歩きスマホ」が原因でホームから転落した人が2014年度には32件だったそうだ。

ホームドア普及へ新型…五輪までに800駅目標

線路への転落を防ぐ「ホームドア」の普及に向け、技術開発が進められている。

国土交通省によると、昨年9月末での設置済みは全国約9,500駅のうち621駅で、6.5%。同省は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年度までに約800駅での設置を目標に掲げるが、コスト面やホームの狭さなどの課題もある。

ホームは「欄干のない橋」に例えられ、東京視覚障害者協会が100人に行った調査では、50人の視覚障害者が「ホームから転落した経験がある」と回答した。また、国交省によると2014年度は「歩きスマホ」などが原因でホームから転落した人が32人いた。

こうした中、JR東日本では約550億円かけ、山手線全29駅にホームドアの設置を進めている。今月中に23駅で完了し、品川、渋谷など残る6駅でも順次整備する。東京メトロも全9線179駅のうち、丸ノ内線など84駅で設置を終えた。

出典:読売新聞(2016年3月16日)

「歩きスマホ」でホームから転落

「歩きスマホ」は危険であることから、駅では鉄道会社や携帯電話会社らが「歩きスマホ」をやめるようにポスターを掲載したり、放送で積極的に注意喚起を呼びかけている。しかし駅で「歩きスマホ」をしている人は一向に減らない。「歩きスマホ」をしているから目と脳はスマホの中のSNSやゲーム、メッセージなどに集中しているから、ポスターにも気が付かないだろうし、注意喚起の放送も耳に入らないのだろう。

「白線の内側におさがりください!」と駅員が大きな声で注意放送をしていても、スマホに集中しているから、聞こえないのだろう。そして自分のことを放送で注意されていることに気がついてない。ホームドアがない駅では、電車に接触しそうな距離で「歩きスマホ」をしている人もいて、非常に危険である。

そして「歩きスマホ」をしていて駅のホームから転落する人が後を絶たないようだ。国交省によると、2010年度は11件、2011年度は18件、2012年度は19件、2013年度は45件、そして2014年度には32件だった。電車の中でスマホに夢中になっていて、降りる予定の駅で下車できずに乗り過ごしてしまう人は多い。それなら笑い話で済ませるかもしれないが「歩きスマホ」が原因でホームから転落して、大事故につながってしまってからでは遅い。「歩きスマホ」は命をかけてまでやることではない。特にお酒を飲んで酔っ払ってからの駅での「歩きスマホ」は足元がふらついていることと、神経が鈍っているから転落しやすく危険である。

ホームドアがあっても「歩きスマホ」は危険がいっぱい

現在ホームドアの設置が拡大しているが、ホームドアが設置されれば、たしかに「歩きスマホ」でホームに転落する危険性は漸減するだろう。しかしホームドアが設置されたからといって駅での「歩きスマホ」が安全になるとは限らない。「歩きスマホ」でぶつかっって怪我をしたり、視覚障害者や高齢者に「歩きスマホ」でぶつかって怪我をさせたりして自分が被害者になる可能性もある。また「歩きスマホ」をしている人は「自分だけは大丈夫」と自己中心的思考に陥りやすい。また「歩きスマホ」をしていない人は、スマホを見て歩いてぶつかりそうな人に対して非常にイライラしているので、トラブルや喧嘩にもなりうる。

電車の乗降時のスマホはイライラと遅延の元

さらに、電車の乗降時にスマホの画面を見ながら乗降する人が多い。これは電車の乗降が遅くなり、時間がかかり鉄道ダイヤにも影響を与えかねない。電車に乗ろうとする時に「降りてくる人たちがスマホの画面を見ながら下りてくるからタラタラと歩いて、いつまでも乗車できずにイライラした」ことや、乗車時にも「前に並んでいる人がスマホを見ながら乗車するので、進みが遅いのでなかなか電車に乗れずにイライラした」経験がある人も多いだろう。さらにこれらが原因で電車が遅延したら、さらにイライラが増す。電車に乗り降りする時くらいはスマホの画面から目を離してさっさと電車から降りたり、乗ったりした方が良い。乗ってからゆっくり車内でスマホを見ればよい。降りる時はもうスマホを見るのをやめた方がよい。

駅での「歩きスマホ」はいいことは何もない。スマホを見ないだけでも見渡しもよくなるし、手も自由になるから、かなり歩きやすくなる。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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